水彩画を始めようと思ったとき、多くの方が悩むのが「筆選び」ではないでしょうか。
絵の具や紙をしっかりと選ぶことが大切ですが、筆も実際に手に取って使ってみないと相性が分かりにくい道具です。 自分の指先に直接触れる道具ですから。
この記事では、水彩画材の定番ブランドであるホルベインの筆に注目し、種類の違いや選び方、代表的な人気モデルの特徴までをまとめました。
読み終えるころには、数ある筆の中から自分に合った一本を選ぶための判断基準が身についているはずです。
僕自身、20年近く水彩画を描き続けてきた中で、何本もの筆を試してきました。
その経験もふまえながら、筆選びで後悔しないためのポイントをお伝えしていきます。
水彩画の筆選びでホルベインが選ばれる理由
この章では、数ある画材ブランドの中でなぜホルベインの筆が多くの水彩画愛好家に選ばれているのか、その背景に踏み込んでお伝えします。
ホルベインは日本を代表する画材メーカーの一つで、絵の具だけでなく筆や紙といった水彩画に必要な道具を幅広く展開しています。
水彩画では、絵の具の発色や紙の質感と同じくらい、筆が持つ「水の含み方」と「毛先のまとまり方」が仕上がりを左右します。
ホルベインの筆は、天然毛から人工毛まで幅広いラインナップがあり、初心者からベテランまでそれぞれの技量や描き方に合わせて選べる点が支持されている理由です。
僕がホルベインの筆を長く使っているのは、毛質が良いことと耐久性が高いことが主な理由です。
ホルベインの筆は丁寧に作られていて、筆先が割れたりすることがなく弾力、水ふくみが良いです。
また、筆の柄の塗装も頑丈で、水洗いや長期間の使用においても割れたり塗装が剥げたりしにくいです。
加えて、ホルベインの開発したリセーブルは安価で画材店での入手のし易さもあります。

ホルベインの水彩筆にはどんな種類がある?
ここでは、ホルベインが展開している水彩筆を「毛の素材」と「形状」という二つの軸で整理し、それぞれの違いを詳しく見ていきます。
筆は見た目が似ていても、素材や形状によって水の含み方や描き心地が大きく変わるため、選ぶ前に全体像を把握しておくことが大切です。
天然毛(コリンスキーセーブルなど)の特徴
天然毛の筆は、動物の毛を使用しているため毛先が自然にまとまりやすく、水と絵の具を多く含める点が大きな特徴です。
中でもコリンスキーセーブルは高級筆の代表格として知られ、繊細な線から大胆なタッチまで一本でこなせる汎用性の高さがあります。
コリンスキーの面相筆は、細い線を描くときに頼りになる一本
水彩画で細い線を描くとき、僕はコリンスキー毛の面相筆を愛用しています。
コリンスキーの毛は、穂先が細くまとまりやすいだけでなく、適度な弾力があるのが特徴です。細い線を描いている途中で穂先が乱れにくく、力を抜けば細く、少し筆圧を加えれば太めの線へと変化させることもできます。
特に、木の枝や草の葉、建物の細かな部分など、「細いけれど表情のある線」を描きたいときに、その良さを実感します。
私が使っているのはホルベイン製ではありません
ここで、ひとつ正直にお伝えしておきます。
この記事を書き始めた当初、私は「ホルベインのコリンスキーの面相筆」について、実際に使った感想を書こうと考えていました。
ところが、手元にある筆を改めて確認してみると、私が愛用しているコリンスキーの面相筆は、ホルベイン製ではなく、他社(精霊堂)の製品でした。
そのため、私はホルベインのコリンスキー面相筆を実際に使用した経験はありません。
ですから、ここで「ホルベインのコリンスキー面相筆は素晴らしい」と、あたかも自分で使ったかのようなレビューを書くことはやめました。
この記事では、私自身が実際に使用して感じているコリンスキー毛の筆そのものの特徴と魅力についてお話しします。
コリンスキー毛の魅力は「穂先」と「弾力」
コリンスキーの面相筆を使っていて、僕が特に気に入っているのが、穂先のまとまりと弾力です。
細い線を描くための筆は、単に毛が細ければよいわけではありません。
穂先がきれいにまとまり、絵具を含み、そして描いている途中で適度に戻ってくれる。このバランスが重要です。
コリンスキー毛は、その点で非常に使いやすい毛だと感じています。
もちろん、すべての人にとってコリンスキーが最適というわけではありません。価格も比較的高く、初心者の方が最初から購入する必要もないと思います。
しかし、「細い線をもっと思い通りに描きたい」「面相筆を一本、良いものに買い替えてみたい」という方には、一度試してみる価値のある筆だと思います。
なお、面相筆とは形状が違いますが、面相筆に相当する筆がホルベインからも販売されています。「ダヴィンチ Red Sable 1210」という筆です。コリンスキーを使用しています。
正確には、ホルベインが扱っているダヴィンチ社製の筆です。
ただし、僕はその製品を実際に使用したわけではありませんので、ここでは具体的な使用感についての評価は控えます。
人工毛(リセーブル・SQシリーズ)の特徴
人工毛の筆は化学繊維で作られており、天然毛に比べて価格が抑えられている一方で、耐久性が高く扱いやすいという利点があります。
ホルベインの「リセーブル」シリーズは、天然毛に近い描き心地を目指して作られた人工毛の筆で、コストパフォーマンスの良さから多くの水彩画愛好家に選ばれています。
形状で選ぶ(丸筆・平筆・面相筆など)
筆は毛の素材だけでなく、形状によっても用途が大きく異なります。
丸筆は最も汎用性が高く、太い線から細い線まで一本でこなせるため、水彩画を始める際にまず揃えておきたい形状です。
平筆は広い面を均一に塗るのに向いており、空や背景など面積の大きい部分を塗る際に活躍します。
面相筆は毛先が細く長いため、髪の毛や草花の線、サインなど、繊細な描写が必要な部分に使われます。
☟SQブラックリセーブル(リセーブル 丸筆3号)

☟SERIES 500H (リセーブル 平筆2号)

☟SERIES F(馬毛 平筆10号)

☟SERIES 700F(リス+リセーブル 丸平筆6号)

ホルベイン「SQブラックリセーブル」の実力
この章では、ホルベインの人工毛シリーズの中でも人気の高い「SQブラックリセーブル」について、水含みや描き心地、価格面まで具体的に掘り下げます。
SQブラックリセーブルは、リセーブルシリーズの中でも毛先の弾力と水持ちのバランスが調整されたモデルで、幅広い描き方に対応できる一本です。
水含みと発色のよさ
この筆は毛先にしっかりと水と絵の具を含ませることができるため、一度筆を運ぶだけでムラの少ない発色を得やすいという特徴があります。
水を多く含める筆は、広い面を塗るときや、複数の色を紙の上でにじませる技法との相性が良い点も見逃せません。

この筆は広い面から細かな面まで幅広く対応でき、とてもコントロールしやすいです。
水含みが良いので、着彩するときも、ぼかしをする際の水筆としても重宝しています。
細かいところも塗れる理由
毛先がまとまりやすいという特性上、太い筆でありながら穂先を使えば細い線も描きやすいのが、この筆の設計上の強みです。
グラデーションのような繊細な塗り分けも、毛先の弾力によって水の伸びをコントロールしやすくなっています。
水含みが良い筆はグラデーションをするのにも有利です。
濃い絵の具を置いたあとに水を含んだ筆でなぞってやるとグラデーションになるからです。
ホルベインのSQブラックリセーブルは水含みがとても良いのでグラデーションが容易に出来ます。
また筆の先端が細く纏まるので、細かな描写もこれ1筆でできる、とても便利な筆です。
価格と扱ううえで気をつけたい点
SQブラックリセーブルは、天然毛の高級筆に比べると手に取りやすい価格帯にありますが、人工毛の筆の中では比較的高めの位置づけです。
また、毛量が多く水を含みすぎる傾向があるため、慣れないうちは紙に水が溜まりすぎてしまうことがあります。
初心者・ベテラン別|ホルベイン筆の選び方
ここからは、水彩画を始めたばかりの方と、ある程度経験を積んだ方、それぞれの視点で筆選びのポイントを整理していきます。
同じ筆であっても、描き手の経験や目的によって「合う・合わない」が変わってくるため、自分の現在地に合わせた選び方を知っておくことが大切です。
これから始める人におすすめの筆
これから水彩画を始める方には、毛量が多すぎず、水加減をコントロールしやすい中サイズの丸筆から揃えることをおすすめします。
しっかり色をのせたい人・作品志向の人向けの筆
ある程度水彩画に慣れて、コンクールへの出品や作品制作を意識するようになった方には、水持ちがよく、しっかりと発色させられる筆が向いています。
SQブラックリセーブルのように毛量が多く水を多く含める筆は、広い面を一気に塗りたいときや、色を重ねて深みを出したいときに力を発揮します。
僕は色を塗る箇所の広狭で筆をまず使い分けます。
空や湖など広い場所は刷毛や大きめの平筆、中間くらいでは丸筆のSQブラックリセーブル、細かな箇所は面相筆です。
丸筆のSQブラックリセーブルは、ある程度の広い面も塗れますし、筆のタッチで、描き手の気持ちを筆先に伝えることが出来ます。
そして、そこそこ細かな箇所も対応できるので、とても器用な良い筆だと想います。
ホルベインの筆を長持ちさせる使い方とお手入れ
使用後の洗い方
水彩用の筆は、油絵の具用の筆と違って専用の洗浄液は必要なく、使用後に流水でしっかりと絵の具を洗い流すだけで十分です。
毛先を強くこすり洗いすると毛が傷んでしまうため、指の腹で優しく挟むようにして絵の具を落とすようにします。
乾かすときは穂先を下にするか、寝かせた状態で風通しの良い場所に置くようにしましょう。
保管するときの注意点
完全に乾いていない筆をペン立てなどに立てて保管すると、毛先の形が崩れたりカビの原因になったりすることがあります。
長期間使わない筆は、毛先をカバーで保護したうえで、湿気の少ない場所に寝かせて保管するのがおすすめです。

筆は基本的に「消耗品」との認識で良いと思いますが、決して安価なものばかりでもありませんので、大切に使いたいです。
そのため僕が気を遣っているのは、絵の具を混ぜる時には安いナイロン筆を使い、いざ色を塗るときから大切な筆に持ち替えて使うようにしています。
絵の具を混ぜる時は、なにかと筆の穂先を捻ったり抉ったりすることが多く、穂先を傷めがちですから。
筆選びに迷ったときに大切にしたい視点
ここまで筆の種類や選び方を見てきましたが、最後に、道具そのもの以上に大切にしてほしい考え方についてお伝えします。
どんなに評判の良い筆であっても、実際に手にとって、自分の描き方に合うかどうかを確かめてみることが何より大切です。
僕は永く水彩画を描いてきましたが、その中で技術が上達しても、絵に自信が持てなくなる時期が何度もありました。
今年2026年も、5月の初めから3か月ほど、ほとんど筆を握れない時期がありました。

そんなときに気づいたのは、道具を変えても、休んでも、それは決して後退ではなく、絵と長く付き合っていくために必要な時間だということです。
筆選びに正解はなく、自分がその筆を持ったときに「描きたい」と思えるかどうかが、いちばん大切な基準だと僕は考えています。
もし、こうい宇心理状態になった絵の初心者のかたは、好きな作家さんの出版している絵の書籍を見てみるのが良いのではないでしょうか。 特に絵画技法の本です。
そこには好きな作家さんの作品がきっと掲載されていて、見ているだけで「こんな絵がかけたらなあ」と思えるでしょう。
そしてその本には、好きな作家さんが使っている道具も紹介されているはずです。
筆のこともきっと書かれています。
是非その筆を画材店で探してみてください。
実は、僕がSQブラックリセーブルを買い求めたのも、好きな作家さんが使っているのを本で知ったのが切っ掛けです。
その筆を手に取るだけで絵を描く気持ちがどんどんと湧いてくると思います。
よくある質問(FAQ)
Q. ホルベインの筆は初心者が最初に買っても大丈夫ですか?
はい、大丈夫です。
人工毛のリセーブルシリーズであれば価格も手ごろで扱いやすいため、水彩画を始めたばかりの方の最初の一本としてもおすすめできます。
Q. 天然毛と人工毛はどちらを選ぶべきですか?
描く内容や予算によって選び方が変わります。
コストを抑えて扱いやすさを重視するなら人工毛、水含みや描き心地にこだわりたいなら天然毛を選ぶとよいでしょう。
Q. 筆はどれくらいの頻度で買い替えるべきですか?
毛先の広がりやまとまりの悪さを感じたり、筆の穂全体が痩せてきたなと感じたら、買い替えのタイミングです。
正しくお手入れをすれば長く使い続けられる道具ですので、毛先の状態にいつも気をかけチェックする習慣をつけましょう。
まとめ|自分に合ったホルベインの筆で水彩画を楽しもう
ここまで、ホルベインの水彩筆の種類や選び方、代表的なモデルであるSQブラックリセーブルの特徴についてを中心にお伝えしてきました。
筆は水彩画の仕上がりを大きく左右する道具でありながら、実際に使ってみないと自分に合うかどうかが分かりにくいものでもあります。
まずは人工毛の扱いやすい筆から試してみて、少しずつ自分の描き方に合う一本を見つけていってください。
僕自身、これからも試行錯誤を重ねながら、水彩画を描く楽しさを多くの方に伝えていきたいと考えています。
絵を純粋に楽しんでもらう、そのお手伝いができたら、これほど嬉しいことはありません。
では、、、、また。




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こんにちは 心象水彩画家のBakkyです 水彩画たのしんでますか?