小学生の水彩絵の具の塗り方|小学生が失敗しないコツ

Bakky

こんにちは 心象水彩画家のBakkyです  水彩画 楽しんでますか?

水彩絵の具は、道具の使い方と塗る順番さえ覚えれば、小学生でもグっと来る絵に仕上がります。

反対に、順番を知らないまま塗り始めると、色がにごったり、画面が汚れたりして、上手く描けず、そうすると絵を描くのが嫌になってしまいがちです。

この記事では、絵の具を出す準備から、色の塗り方、失敗したときの直し方、片付けまでを一本の流れで解説します。

夏休みの宿題や図工の授業で、すぐに使える具体的な手順だけを選びました。

僕自身、水彩画を描き始めて20年近くになります。

20年前に水彩画を描き始めたそのとき、絵筆を持ったのは正に子供のとき以来でした。

その経験から、「ここを押さえれば小学生の絵が見違える」というポイントに絞ってお伝えします。

お子さんと一緒に読み進めながら、次の一枚の絵から試してみてください。

目次

小学生の水彩画は「塗り方の順番」で仕上がりが決まる

この章ではまず、なぜ順番が大切なのかを絵の具の性質から説明します。

そのうえで、この記事全体をご覧になることで、絵の塗り方が身につくことでしょう。

小学校で使う絵の具は不透明水彩絵の具

小学校の図画工作の時間に使われる絵の具は、学校教材向けに作られた不透明タイプの水性絵の具です。

この絵の具は、安価で安全性を重視し、子どもが扱いやすいように設計されていて、「ぺんてるエフ水彩」と「サクラマット水彩」が二大絵の具です。

これらの絵の具は、プロが使うホルベインやウィンザー&ニュートンの透明水彩絵の具に比べると、どちらも不透明に調合になっていますが、名前の通りサクラマット水彩の方が、より不透明です。

一方、ぺんてるエフ水彩の方は、水を多く使って溶くと透明性が増すという特徴を持っています。

どちらも不透明ゆえに、上から色を塗ると下の色が隠れるので重ね塗りがしやすく、お子さんにも使いやすいのが特徴です。

うまく見える絵と、にごって見える絵の違い

水彩絵の具は、水で溶いて紙にのせる絵の具です。

前節で「学校教材向けに作られた絵の具が不透明タイプ」と書きましたが、下に塗った色が乾ききる前に別の色を重ねると、色同士が混ざってにごります(下に塗った色が乾いた後なら、別の色を重ねても不透明なら、にごらずに上描きできます)。

うまく見える絵は、色を塗る順番とタイミングが整理されています。

にごって見える絵は、「ココを描いたから次はコッチを塗ろうかなぁ」と、思いついた場所からあっちこっち次々に塗ってしまっているのがほとんどです。

つまり、絵のうまさよりも先に、「塗る順番」と「塗るタイミング」という手順を知っているかどうかが「絵の出来」の大きな差になります。

Bakky
僕は幼い頃、「自分は絵が上手じゃないな」と自覚していました。
小学校の図画工作の時間、先生はだいたい放任ですので(苦笑)どうすれば良いのか、だれも教えてくれなかったです。描く度に毎度「下手な絵だなー」と思っていたものです。
構図はもとより、色の選び方、道具の使いかた、塗り方の手順など、全く「適当(いいかげん)」にやっていて、そんな感じで描いていたものですから、毎度「僕は絵が下手なんだ」と思っていました。
もちろん上手く描きたい気持ちは持っていたのですが、どうすれば良いのか、見当がつかず、ただ思うままに描いていたものでした。
そして、大人になってから水彩画に改めて触れたとき、子供のときと絶対的に違ったことは、「考えながら絵を描く」ようになった、ということです。つまり、「塗る順番と塗るタイミング」ですね。これは大きいです。

この記事で身につく描き方の流れ

絵の描き方の流れは、次の5ステップです。

  1. 道具と水を準備する
  2. 絵の具を出し、水で溶く
  3. 広い面・明るい色・遠くから塗る
  4. 乾いてから、濃い色と細かい部分を重ねる
  5. 筆と筆洗バケツを洗い道具を片付ける

このあと、各ステップを順番に詳しく見ていきます。

ここまでのまとめ
水彩の仕上がりは、筆さばきのうまさより塗る順番で決まります。
前の色が乾く前に次の色を重ねると色がにごるので、順番を知っているだけで失敗はぐっと減ります。

塗り始める前に揃えたい道具とパレットの準備

この章では、道具の名前からパレットに絵の具を出す量の目安まで説明します。

準備を丁寧にするだけで、塗っている最中の失敗はかなり減ります。

最初に用意するもの

水彩画に必要な道具は、次のとおりです。

  • 水彩絵の具(12色セットが基本)
  • 丸筆(太め・細めの2本が基本)
  • 平筆(広い面を塗るときに便利ですが必須ではないです)
  • パレット
  • 筆洗バケツ(少なくとも2つ以上に仕切られたもの)
  • 雑巾またはティッシュ
  • 画用紙またはスケッチブック

筆は丸筆の太筆と細筆の2本があると、広い面と細部を塗り分けられます。

1本の筆で全部を済ませようとすると、細かい部分が太くなり、ぼやけた絵になるからです。

小学生用の絵の具セットでは、この太筆と細筆の2本入りが標準セットになっています。

☟下の写真はぺんてる 絵の具セット スケッチセットの例です。

筆洗バケツの使い方と筆の水加減

筆洗バケツは、仕切りのそれぞれの「水の役割」を考えながら使いましょう。

仕切りが3つある場合は、「新しい絵の具を溶くためのキレイな水」「筆を洗う水」「筆の水気をとる場所」と使い分けます(「筆の水気を取る場所」の中にスポンジを置いて、これに筆を触れさせて水気を取るようになったセットもあります)。

こうした使い分けを憶えておくと、きれいな水が汚れず、明るい色をにごらせずに済みます。

具体的に説明すると、

・新たに絵の具を筆に取る場合は、

キレイな水に筆を浸す→その筆で絵の具に触れ、絵の具を筆に付ける→パレットの混色部で絵の具を溶く、の順で行います。

・ある色の絵の具が筆に付いている時、次に違う色で塗ろうと思った場合は、

筆を洗う水に筆を漬ける→筆の水気をとる場所で、水気とともに前の絵の具を取る→キレイな水に筆を浸す→その筆で絵の具に触れ、絵の具を筆に付ける→パレットの混色部で絵の具を溶く、の順で行います。

次の色の色相が、色相環の補色の関係の色同士のようにガラッと変わる場合は、特に筆をキレイに洗う癖を付けるとよいです。

そのためには、「筆を洗う水の中に筆を漬けてバケツの底にトントンと当てて洗う→筆の水気をとる場所で、水気とともに前の絵の具を取る→再び、キレイな水に筆を浸してバケツの底にトントンと当てて洗う→筆の水気をとる場所で、水気とともに絵の具を取る」とした方が、確実に前の絵の具を取り去ることができます。

 また、筆の水気をとる場所は、水を含ませすぎたと感じたときに、スポンジで軽くしごくことで筆の水気を調整するのにも使います。

パレットへの絵の具の出し方

絵の具は、パレットの絵の具を入れる仕切り(ウェル)に、色の順番に沿って少量ずつ出します。

出す量の目安は、絵の具の仕切り部分の半分から2/3が絵の具で埋まるくらいで良いです。

この絵の具にキレイな水を含ませた筆で触れて、絵の具を混ぜる場所(混色部)に絵の具を置いて溶きます。

まずは、筆に少しの絵の具が染みこむくらいから始めて徐々に増やします。

最初から多く出しすぎると、使い切れずに乾いて無駄になり、片付けも大変になります。

広い面を塗るときだけ、その色を多めに筆に取って足します。

混色用の場所を確保しておくと、色を作るときに手が止まりません。

パレットに絵の具.jpg
準備のチェックリスト
筆は太筆と細筆の2本以上、バケツは水の役割を分ける、絵の具は徐々に増やす。
この3点を守るだけで、塗っている最中のトラブルが減ります。
なお、この節の説明は、絵の具はパレットのウェルに出したまま洗わないことを前提として記載しています。

絵の具の基本の塗り方と水の量の決め方

この章では、筆を持つ手の形から、水の量による濃さの調整を説明します。

色を混ぜるときに小学生がよく迷う、「何色を足せばいいか」のルールも紹介します。

筆の持ち方と動かし方

筆は、持ち方そのものは鉛筆を持つ持ち方でOKですが、鉛筆を持つときよりも少し後ろを持ちます。

穂先が紙の上を広く自由に動くようにするためです。

広い面を塗るときは、筆をやや寝かせて筆の穂を広く紙に触れさせ、紙の上を大きく動かします。

細い線や細かい部分を塗るときは、筆を立てて穂先の先端だけを使います。このときは鉛筆の持ち方の位置くらいを持つのが描きやすいでしょう。

また、筆を紙に強く押しつけると、穂先が割れて線がガタガタになります。

軽くのせて動かすくらいの力が、ちょうどよい加減です。

因みに、穂先をわざと割って塗る塗り方もありますが、今回のテーマは小学生の塗り方なので、割愛させていただきます。

水の量で変わる濃い色・薄い色

水彩絵の具は、絵の具に対する水の量で色の濃さが決まります。

水が多いと薄く透ける色になり、水が少ないと濃くて力強い色になります。

同じ絵の具でも、水の量を変えれば、明るい部分から暗い部分まで1色で描き分けられます。

だからこそ、色の数が少ない12色セットでも、十分に絵が完成します。

薄い色は水を多めにして塗り、濃い色は水を控えめにして塗ります。

☟これは、ホルベイン絵の具で作った色見本の例ですが、水の量を増やすにしたがっていろが薄くなっているのがわかると思います。

濃さの目安は、筆に含ませた水の量ではなく、パレットの上でどのくらい絵の具を溶いたかで決まります。
パレットの上で色を作ってから紙にのせましょう。

パレットの上に絵の具を置いて、少しずつ水を足していって様子を観察してみましょう。

パレットは白色ですよね。最初は、絵の具がぬるぬるとヨーグルトみたいな堅さで、パレットの白色は見えず、色も絵の具そのものの色が見えます。

そして、水を加えていくと、少しずつサラサラになって行き、さらに水を足すと、ジュースのようになってパレットの白が透き通って見えてきます。色が薄くなっていったのが実感できるでしょう。

これらのそれぞれの濃さの絵の具を筆に取って紙に塗ってみましょう。

一つの絵の具なのに、いろいろな色が描けるはずです。

これを一度やってみると、パレット上での見え方と紙に塗った時の見え方とが感覚的に繋がって、理解できるようになります。

色を混ぜるときのルール

色は、パレットの上で混ぜるのが基本と考えましょう。

紙の上で混ぜて狙いの色にするのは、小学生にはハードルが高いです(もちろん、狙いの色にならなくとも、それはそれで絵の具の面白さです)。

また、紙は決して耐水性が高いものではありませんので、紙を筆でイジりすぎると紙が傷んで毛羽立ったり、破れたり、波打つ原因にもなります。

また、パレットの上で混ぜる場合でも、混ぜる色の数は少なめにした方が良いです。

多くても3色までにしましょう。 水彩絵の具は混ぜれば混ぜるほど色が濁ってグレーや焦げ茶色のように暗くなっていきます。

この性質を逆に利用した色の作り方があります。

暗い色を塗りたいときは、黒色を使うのではなく、補色同士を混ぜると黒っぽい色になります。

この方が、黒色を使うより、深みのある落ち着いた色になります。

たとえば、緑を落ち着かせたいときは、緑の補色である赤を加えていきます。

補色とは、下図(「色相環」といいます)の中で、円の中心を基準にして対称(反対側)同士の色です。

例えば、黄色と紫色、緑色と赤色などです。

水と混色の要点
薄くしたいなら水を足し、濃くしたいなら水を控えます。
混ぜる色は3色まで、混ぜる場所は紙ではなくパレットの上です。
基本的に黒色は使わず、補色同士を混ぜて作る色を使うとよいです。

失敗しない色を塗る順番の決め方

この章では、風景画を例に、空から手前まで塗る順番を1つずつ見ていきます。

順番を決めておくだけで、色がにごる失敗は大幅に減ります。

「広い面・明るい色・遠く」から塗る

塗る順番の基本は、次の3つの原則です。

  • 遠く広い面から薄めの色で塗る。
  • 明るい色から塗る。濃くするところは少しずつ色を重ねていく。
  • 近くのものを塗る

遠くのものから薄く塗る理由は、手前のものを後で重ね濃淡を持たせたほうが、奥行きが自然に出るためです。

明るい色を先に塗る理由は、水彩絵の具は透ける絵の具なので、あとから、もし明るい色を上に重ねたくなっても、その明るい色がほとんど見えないからです。

一方、濃い色をあとから塗るのはOKです。下の薄い色に対して上の濃い色はちゃんと見えます。

風景画の順番の例(空→山→木→手前)

風景画の場合、次の順番で塗るのが基本です(失敗しにくい)。

  1. 空
  2. 奥の山や遠くの景色
  3. 木や草むらの緑
  4. 木の幹や地面
  5. 手前の花や人物、細かい部分

お分かりのように、①から⑤に向かうにつれて遠景から近景になっています。これが基本です。

もし、空を薄く塗り、そこに何か濃い色のもの(例えば、鳥や気球や空を背景にしたビルなど)を塗る場合は、あとでも加えられます。空の方が色が薄いからです。

要するに、薄い色から濃い色へと描き進む時は遠景・近景の区別なく進めることができます。

木の幹は、葉の茂みの緑を塗ったあとに塗ります。緑を先に塗っておくと、幹の細かい線を後から重ねやすいからです(幹の茶色のほうが緑よりも強いから)。

木の描き方についてはこちらの記事も参考にしてください。☞『木の描き方』

☟下は琵琶湖の湖畔の風景を描いた例です。遠景の空から近景の水面へと描き進めています。

この風景の描き方は、こちらの記事で動画を交えて説明しています☞『琵琶湖の描き方』

乾く前に触らない、重ね塗りは乾いてから

水彩絵の具は、乾く前に別の色が触れると、色がにじんで混ざります。

にじみを活かす技法もありますが、初心者の小学生は、「乾くまで待つ」が基本です。

乾いたかどうかは、紙の表面のつやで判断できます。

つやがなくなり、紙が乾いた質感に戻ったら、次の色を重ねてOKです。

乾くのを待っている間は、離れた別の場所を塗るか、筆を洗って色を整えておきます。

まだ湿っている紙の上を強く筆で塗ると、弱い画用紙だと表面が毛羽立ってきます。そうすると、乾いたあとも表面のキメが荒れた感じに見えます。
乾かしてから、やさしく重ねましょう。
塗る順番の要点
広い面・明るい色・遠く→近くの順に塗り、重ねるのは乾いてからです。
風景画なら、空→山→木→手前の順番を覚えておけば迷いません。

場面別の塗り方のコツ(空・木・影・主役)

この章では、風景画でよく登場する4つの場面ごとに、具体的な筆づかいと色の作り方まで解説します。

空の青、木の緑、影の色、主役の目立たせ方まで、順に見ていきましょう。

空をきれいに塗るコツ

空は、水を多めにして、薄い青で塗り始めます。

筆を空の場所いっぱいに左右に動かしながら、画面の上から徐々に下へ移動させながら塗って行くと、ムラなく塗れます。

空の下の方(遠方)は、筆の水の量を足して色を薄めていくと、遠くへ向かって明るくなるグラデーションができますが、小学生には、やや難しいかもしれません。

雲を描きたいときは、空が乾く前にティッシュで軽く押さえて色を抜くか、塗り残しすると、雲になります(ティッシュで押さえる方法の方が簡単)。

☟雲の描き方です。まずはティッシュで押さえて色を抜く方法です。抜きやすいように多めの水で溶いた絵の具を使います。

☟次は、塗り残しで描く方法です。雲の部分を意識して、それ以外の青空を塗ります。絵の具の伸びが良いように、描く直前に水でスプレーしています。

木や草の緑を自然に見せるコツ

緑は、絵の具のチューブの緑1色だけで塗ると、平らで不自然な印象になります。

黄色を混ぜて明るい緑を作ったり、青を混ぜて深い緑を作ったりすると、木に表情が出ます。

木の上のほうは、光が当たるので明るい緑、下のほうや奥は影になるので暗い緑を使います。

筆先を割ってトントンと軽くたたくように塗ると、葉っぱの質感が出ます。

木の描き方についてはこちらの記事で詳しく説明しています。☞『木の描き方』

光と影で立体感を出すコツ

光が当たる側は明るい色、反対側は暗い色で描きます。

影の色は黒でなく、そのものの色に少し青や紫を混ぜて作ると、自然な影になります。

絵の具セットの中には黒色があるので意外な感じがするかもしれませんが、黒色は基本的に使いません。

黒色を使うと、絵全体が重くなり、水彩らしい透明感が失われてしまいます。

なお、影を塗るのは、明るい部分が乾いたあとです。

場面別のコツ
空は上から下へ一方向、緑は黄色や青を混ぜて表情を出し、影は黒を使いません。
主役は濃くはっきり、背景は薄く柔らかく描き分けます。

主役と背景に差をつけるコツ

絵の主役は、色を濃くして、はっきり塗ります。

背景は、水を多めにして、薄く柔らかく塗ります。

主役の輪郭をくっきり描き、背景の輪郭をぼかすと、視線が主役に集まります。

僕は、風景を描くときは、必ず「今日の主役はこれ」と決めてから筆を持ちます。

でも、僕自身の小学生のころを思い返すと、「これが主役!」と決めて描いたような記憶はありません(苦笑)。漠然と目の前に広がっている風景や静物を見て描いていました。

けれども、考えて描くことの大切さを学んだ今、、、やはりこれは大切なんだ、これを頭に置いて描くのとそうでないのとでは、明らかに絵の出来に違いが出るんだ、ということを知りました。

なので、この記事を読むかたが小学生であっても、このことは知って欲しいと思います。

自分の見ているものの中で、「描きたいな」、「キレイだな」と思ったものを主人公にしてください。それでOKです。

また、主人公は物でなくとも良いです。

☟下の絵は、僕が描いた「惜別」という題名を付けた絵です。

「別れ」をテーマに、水彩のにじみや淡い色調を通して、感情を描き出そうとしました。

冬の夜空の冷たい満月と、遠くに対岸の街の光をぼんやりと描いています。また、夜の静けさに一艘の船を浮かべました。

絵の要素としては月と船が主人公になるのでしょうが、それがなくとも絵全体としてテーマを訴えかけることも、あり得る表現です。

Bakky
僕は「惜別」という作品で、月の光をはっきり見せて静けさを、もやい綱の取れた船で寂しさを表現しました。
絵は、主役を決めると迷わずに筆が進みます。

よくある失敗と、その場での直し方

この章では、小学生が絵の具でつまずきやすい3つの失敗と、その場でできる直し方を、具体的な手順で紹介します。

失敗しても大丈夫だと知っておくだけで、筆を持つ手が軽くなります。

色がにごったとき

色がにごる原因は、混ぜる色が多すぎたか、乾く前に色を重ねたか、のどちらかです。

前者については、パレットの混色部で色を混ぜるのに、できるだけ少ない色同士を混ぜることで対処します。

一方、後者については以下のようにします。

ある色が乾かないうちに、そこに次の色を塗ってしまって「色がにごった!」と思ったら、すかさずティッシュを軽く当てて、にごった絵の具を吸い取ります。

そうすると、にごった色が紙の上に少し残るものの、大部分は取り去れます。

そして、紙が乾いたら、その上に次の色を濃い目に塗ると、にごりを目立たなくできます。

前述のように、絵の具は前の色が乾いてから次の色を塗るのが原則ですが、まちがって塗ってにごった場合は、このようにしてリカバリーします。

にごったのに気づいたら、すぐに対処しないと、にごった色が紙に染みこんで定着していまうので、速やかに行います。

はみ出した・塗りムラができたとき

はみ出した部分は、一旦乾かしたあと、はみ出した部分だけ水で湿らせた筆でやさしくなぞり、ティッシュで吸い取ります。

絵の具は、乾く前に吸い取る方が、色を薄くできるのですが、「はみ出した部分だけ」をティッシュで吸い取っても、吸い取ってない部分から絵の具が侵出してきて、結局はみ出してしまいますので、「はみ出した!」と思っても慌てず、一旦乾くのを待ちましょう。

塗りムラは、乾いたあとに同じ色をもう一度薄く重ねると、なじんで目立たなくなります。

ムラを完全になくそうとせず、「絵の味」として活かす考え方も大切です。

塗り終わった後の「絵の具が足りない感じ」の解決

塗り終えたあとに、絵がなんとなく寂しく感じるときは、コントラストが足りないことが多いです。

薄い色の部分の色に水をつけて色を抜くか、影や輪郭の一部に、濃い色を少し加えると、絵が引き締まります。

いきなり全体に足さず、一か所ずつ試して、様子を見ながら進めてください。

やりすぎは禁物です。
足しすぎると、せっかくの透明感が消えてしまいます。少しずつ足して、こまめに全体を離れて見ましょう。

僕は、自分の作品を作るときに、「どこか光を感じられる絵が作りたい」といつも思って取り組んでいます。

そのためには、紙の白を利用するのですが、それが上手くいかないことも時々あります。

そのときはどうするかというと、暗いところをもっと暗くするんです。そうすると、それまであまり光を感じられなかった絵の中に光を感じさせることができます。

失敗したときの合言葉
慌てずに、まずティッシュで吸い取るか、乾かします。
直すのは乾いてから、足すのは少しずつです。

塗り終わったあとの片付けと保護者のサポート

この章では、筆の寿命を延ばす洗い方から、服についた絵の具の対処、保護者ができる声かけについて説明します。

片付けまでが絵を描く時間です。

筆・筆洗バケツ・パレットの洗い方

筆は、流水で穂先の絵の具をやさしく洗い流し、水気をティッシュで取ります。

穂先の形を指で整えて、筆先を横向きか下向きにして乾かします。

下にするときは穂先が曲がらないように何かに吊り下げます。

筆に水分を残したままにすると、カビの発生の原因になります。なので、乾く前に穂先を上向きにして立てるのは避けましょう。

筆洗バケツは、スポンジを使いながら多めの水でキレイにしましょう。

パレットは、学校によって片付け方は少し違いますが、混色部の絵の具は、水を含ませたティッシュか布巾で絵の具を溶かして拭き取り、絵の具を納めているウェル部に残った絵の具は、絵の具を無駄にしないために、そのままにしておく方法もあります。

僕の考えでは、パレットの絵の具はウェル部も混色部も全く洗わなくてもよいです。混色された色は、”味がある色”になっているのと、今回と次回の制作の間で、色目の変化が少なくて済むからです。もちろん、次回から全くの新作に取り組む場合は、この限りではありません。

ただ、「使ったあとのものをちゃんと始末すること」を小学生に教育するという点では、毎回キレイにする、というのは意味あることだと思います。

服や机についた絵の具の対処

服に絵の具がついたら、乾く前に水をつけたタオルでたたくように拭き取ります。

乾いてしまった場合は、水彩絵の具はぬるま湯と中性洗剤でもみ洗いすると落ちやすくなります。

描く前に、汚れてもよい服に着替えるか、エプロンをつけておくと安心です。

机には新聞紙やビニールシートを敷いておくと、片付けがずっと楽になります。

おうちの方が声かけできること

保護者の方は、塗り方に口を出しすぎず、「この色、きれいだね」「この形おもしろいね」と、お子さんが描いたものを前向きに受け止める声かけをしてください。

まずは技法に拘わらず自由に描いてもらうのが良いと思います。

上手・下手ではなく、お子さんが選んだ色や形の表現を認めることが、次も描きたい気持ちにつながります。

僕が水彩画を続けられているのも、描いた絵を「優しい絵ですね」と言ってもらえた喜びがあったからです。

評価されることより、楽しく描く時間を積み重ねることが、上達の近道になります。

片付けとサポートの要点
筆は洗って筆先を横向きか下向きにして乾かし、服や机は事前の備えで守ります。
保護者の方は、上手・下手より「選んだ色や形」を認める声かけを心がけてください。

小学生の水彩絵の具の塗り方でよくある質問

この章では、小学生の保護者や先生からよく聞かれる疑問を3つに絞って、具体的にお答えします。

何年生から水彩絵の具を使えますか

現在の小学校学習指導要領では、3年生前後(中学年)から扱う材料とされています。

筆の持ち方や水の量の調整を理解できる年齢になるためです。

ただし「3年生にならないと使ってはいけない」ではありません

低学年のお子さんでも、パレットの準備や片付けを大人が手伝えば、楽しく取り組めます。

最初は少ない色数で、短時間から始めるのがおすすめです。

夏休みの宿題で時間がないときはどうしますか

時間がないときは、絵の構図をシンプルにするのが近道です。

描く対象を1つか2つに絞り、背景は薄い1色でまとめると、短時間でもまとまりのある絵になります。

簡単な風景画か静物画がよいでしょう。

塗る順番は、空や背景、主役、細かい部分の3段階に簡略化するのがよいと思います。

絵が苦手でも上手に見せる方法はありますか

あります。

「塗る順番を守る」「色を混ぜすぎない」「主役をはっきり描く(少し濃くする)」「全部を細かく描かない」の4つを守るだけで、絵は見違えます。

絵の上手さは、生まれつきの才能よりも、手順の理解で決まる部分が大きいからです。

それに、絵が観ているひとに感銘を与えるのは、決して技術ではありません。

これは、展覧会などに参加すると毎回思わされることです。

「上手な絵」より、「見ている人に伝わる絵」を目指しましょう。

僕自身も、最初は先生の絵を真似ることから始めて、少しずつ自分の描き方が見つかりました。

まとめ|塗り方の順番を守れば、水彩は楽しくなる

水彩絵の具の塗り方は、道具の準備、水の量、塗る順番とタイミングを押さえれば、小学生でも失敗しにくくなります。

特に大切なのは、「広い面・明るい色・遠く」から塗り、乾いてから重ねるという順番です。

失敗しても、ティッシュで吸い取ったり、乾いてから重ねたりすれば、たいていは直せます。

上手に描くことより、自分の見たモチーフを自由に紙の上に表すことが、絵の本当の楽しさです。

まずは1枚、今日紹介した順番でお子さんと一緒に描いてみてください。

完成した絵を見たとき、きっと「もっと描きたい」と思えるはずです。

Bakky

水彩画は、お子さんから大人の方まで気軽に楽しめる画材です。

まずは、「絵を楽しむこと」が何より大切です。

手元にある道具を何かひとつ手に取って、描いてみましょう。

一緒に絵をたのしみましょう。

では、、、また。