中学生になると、美術の授業やコンクールで水彩画を描く機会がぐっと増えます。
そのような中、「上手く描けない」と悩む生徒さんも少なくありません。
この記事では、中学生が水彩画で上達するために必要な画材の選び方、基本技法、描き方の手順、そしてコンクールで評価される作品の特徴までを順番に解説します。
お子さんの道具選びや作品作りを支えたい保護者の方にも役立つ内容です。
読み終えるころには、次に何を準備し、どこからどう練習すればよいか、がはっきり見えているはずです。
中学生が水彩画を描く場面とは?授業・部活・コンクールの全体像
水彩画は、コツさえ押さえれば誰でも確実に上達できます。
この章では、中学生がどんな場面で水彩画に取り組むのか、そしてなぜ水彩画が学校教育で定番になっているのかを整理します。
目的がはっきりすると、道具選びや練習の優先順位も決めやすくなります。
美術の授業で水彩画が求められる理由
水彩画は、中学校の美術で風景や静物を描く課題によく使われます。
理由は、絵の具が水溶性で光や空気の変化を表現しやすく、道具の後片付けも簡単だからです。
また、油絵に比べると絵の具が乾くのが早いので、作品制作の時間も少なくて済みます。
早いとは言え、授業では当日中あるいは課題の締め切りまでに一枚を仕上げる必要があります。
そのため、時間配分と制作工程の段取りを意識することが、上達の近道になります。
コンクールに挑戦する中学生が増えている背景
水彩画は、学校の外にも発表の場があります。
たとえば文具メーカーが主催する絵画コンクールには、中学生の部が設けられており、文部科学大臣賞など複数の賞が用意されています。
現在はなくなってしまいましたが、トンボ鉛筆の「WELOVEトンボ絵画コンクール」の、例えば2023年の中学生の部では、「変わらぬ光景」「わらぶき屋根とトンボ取り」「秋風」「夕焼けに惹かれたトンボ」といった作品が入賞しています。
題名からも、身近な風景や季節の情景、生き物との関わりが、評価される題材になっていることが読み取れます。
参考:トンボ鉛筆「WELOVEトンボ絵画コンクール」中学生の部入賞作品(https://www.tombow.gr.jp/sdgs/kaiga/2023/07.html)
中学生の水彩画に必要な画材と道具の選び方
この章では、最初にそろえるべき最小限のセットと、紙の選び方を解説します。
全部を買いそろえる必要はありません。
既に、学校教材として十分な道具をお持ちの方は読み飛ばしていただいて大丈夫です。
絵の具・筆・パレットの基本セット
最初に必要なものは、透明水彩絵の具12色セット、丸筆2〜3本、パレット、筆洗(水入れ)、雑巾かティッシュです。
色数は12色あれば十分です。
足りない色は混色で作れるので、寧ろ色数を増やすより混ぜる練習のほうが上達に直結します。
筆は、太め・中くらい・細めの3本があると、広い面から細部まで描き分けられます。
筆は必ずしも高価なものでなくとも良いですが、穂先がまとまる丸筆を選んでください。
穂先が割れる筆は、細かな箇所の表現が難しいです。



上の三枚の写真は、僕が普段使っている水彩道具です。
筆(大、面相筆)、刷毛、パレットにセットした絵の具、面相筆、水入れ、それに水スプレーです。
僕はホルベインの透明水彩絵の具を愛用しています。
水彩画の基本を知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。☞『水彩画初心者』
紙の選び方で仕上がりが変わる
意外に思われるかもしれませんが、水彩画では紙選びが仕上がりを大きく左右します。
画用紙でも描けますが、専門メーカーの水彩紙の方が断然、発色が良く、水を含んだときにも波打ちにくく、にじみや重ね塗りもきれいに出ます。
そして少し厚手の水彩紙が扱いやすいです。
厚みが300g/m2あれば十分です(水彩紙の厚みは、単位面積あたりの重量で表されます)。
そして、紙の厚みと表面の凹凸(目の粗さ)を意識して選んでください。
表面にザラつきのある「中目(ちゅうめ)」が、にじみの表現がしやすいのでおすすめです。
学校の道具で足りるものと買い足すもの
学校教材の絵の具セットは、基本の色がそろっているので、そのまま使えます。
絵の具は、使い切った色だけを単色で補充していくのが無駄のないやり方です。
パレットも、仕切りのあるプラスチック製で十分です。
買い足すなら、まず水彩紙と、質の良い丸筆を1本です。
初心者の中学生でも上達する水彩画の基本技法
中学校の美術の授業で教えられている絵画技法のレベルは、学校それぞれだと思いますし、もしかしたら担任の先生次第かもしれません。
美術部の先生が担任のクラスと、そうでないクラスとでは、自ずと差があると思います。
少なくとも僕の中学校時代の経験では、かなり生徒の自由に任せて描かせていました。
そんなことですから、現実的には技法レベルのバラつきがかなりあろうかと思います。
この点を考慮して、この章では「おさらい」で、水彩画の仕上がりを決める3つの基本技法を、失敗しやすいポイントとあわせて解説します。
技法を知ってから描くだけで、練習の効率は大きく変わります。
水の量を操る(ウェットオンウェット、にじみ)
水彩画の基本は、水の量のコントロールと水の上の絵の具のコントロールです。
紙を先に水で濡らしてから絵の具をのせると、色が自然に広がる「にじみ」ができます。
空の雲や水面、遠くの山など、やわらかく表現したい部分に向いています。


反対に、乾いた紙に濃いめの絵の具でのせると、輪郭(エッジ)のはっきりした線や面になります。
近くの物や影など、くっきり見せたい部分に使うと効果的です。
空や雲、遠くの山並みなど、さまざまなモチーフに応用できる「ぼかし」
ぼかしは、濃い色から薄い色へ、あるいは一つの色から別の色へ、なめらかにつなげていく技法です。
例えば、青空を描くとき、上の方を濃い青にして、地平線に近づくにつれて薄くすると、空の広がりを表現できます。グラデーションとも言います。

また、輪郭を柔らかくするぼかしもあります。
描いたものの輪郭を部分的に柔らかくする技法です。
例えば、山の輪郭をすべてくっきり描くのではなく、一部をぼかして柔らかくすると、遠くの山が空気に溶け込むような印象になります。こちらの方がよく使われるぼかしです。
ぼかしは、形を曖昧にするためだけの技法ではなく、光や空気を描くための技法でもあります。

にじみとぼかしについては、こちらの記事を参考にしてください☞『にじみとぼかし』
色の重ね方と混色のコツ
水彩絵のうち、特に透明水彩絵の具は、薄い色から濃い色へ重ねるのが基本です。
先に濃い色をのせてしまうと、あとから明るくできないからです(水彩絵の具は修正が難しい)。
まずは水を多めに使って薄く塗り、乾いてから色を追加してみましょう。空や遠くの山など、明るく柔らかな表現をしたいときにも役立ちます。
色を重ねるのも良いのですが、上達してきたら、最初から狙いの色目を出せるようにしてみてください。というのも、水彩絵の具は初塗りがいちばん美しい色を出せるからです。
でも、これはなかなか難しいので、上達のための目標として考えてください。
また、混色は2色までを目安にしてください。
3色以上を混ぜると色が濁りやすくなります。
そして補色同士の色を重ね塗りをするときは、必ず下の色が乾いてから次の色をのせます。
乾く前に重ねると、色が混ざって濁った印象になります。
たとえ、下の色が乾いてから次の色を塗るときでも、あまり長く筆で触り続けると、下の色が溶け出してきて混ざってしまいますので、筆の使い方も注意が必要です。
補色とは、下の図(色相環図)の中で、円の中に対して反対側に並んだ色同士を言います。例えば、黄色と紫、赤と緑などです。これらの補色同士の色を混ぜると、くすんだ灰色に近い色になります。

白を残す技法、塗り残しとマスキング
水彩画の中で、いちばん明るいところは紙の白です。絵の具の白ではありません。
画面の中で光を感じさせたいなら、そこは絵の具を塗らずに紙の白を残す必要があります。
白く残したい部分を作るには、絵の具を塗るときに、そこを避けて塗り残すか、マスキング液を予め塗っておきます。
形状があまり複雑でないところを塗り残すのは簡単ですが、そうでない、例えば細かい光や水しぶきなど、筆では塗り残しにくい場所には、マスキング液が役立ちます。
先にマスキング液を塗って紙の白を保護し、絵の具が乾いてから剥がすのです。
水面の反射のような複雑な形で紙の白を残したいときに使うと、光の表現がぐっと引き立ちます。
僕自身も、このマスキング技法をよく使っています。
下の絵はその例ですが、夜の水面に光が反射する場面を描くときに、光をはっきり見せることで、夜の静けさが伝えられていると思います。
使った箇所は月と水面の光と街の灯りです。特に漣のような複雑な形はマスキング液でカバーすると、楽に紙の白が残せます。

中学生が描きやすいモチーフと題材の見つけ方
この章では、何を描けばいいかわからない人のために、題材の探し方を具体的に紹介します。
「描きたいもの」が決まれば、それだけで絵の半分は完成したようなものです。
身近な風景を題材にする
最初のモチーフは、通学路の風景、校庭の木、家の窓から見える空など、まいにち目にしているものがおすすめです。
見慣れた場所は、光の当たり方や季節の変化を観察しやすく、構図を決める練習にもなります。
コンクールの入賞作品の題名にも、身近な風景や季節の情景が多く見られます。
特別な場所に行かなくても、自分の目に映った一瞬を丁寧に描くことが、見る人の心に届く絵につながります。
例えば「自然を大切にすること」がテーマなら、自然の美しさを描くだけでなく、身近な自然を守りたいという気持ちを表現する方法もあります。
ただし、コンクールで指定テーマがある場合は、その内容や募集要項を優先します。
題材が決まらないときは、「最近、どんな景色や物事が印象に残った?」と自問自答してみましょう。
この問いかけから始めると、自分の題材を考えるきっかけになります。

☝近所の何気ない風景を絵にしたものです。奥行き方向に道が続く構図で描きました。
静物・人物を描くときの注意点
静物は、果物や花、文房具などを机の上に並べて描きます。
光の向きが一定なので、影の描き方を学ぶのに最適です。
人物は、顔の細部から入ると失敗しやすくなります。
まず全体の大きな形と、肌や服の明暗を押さえてから、細部を描き込んでください。
水彩画の描き方を7つの手順で解説
この章では、下描きから仕上げまでを順番に追い、迷いやすいポイントごとに対処法を示します。
この手順どおりに進めれば、初めてでも一枚を完成させられます。
- 題材とサイズを決める:最初はF4〜F6程度の大きさがおすすめです。大きすぎると仕上げる体力が続きません。
- 構図を考えて薄く下描きする:鉛筆の線は薄くします。濃い線は、水彩の下から透けて見えるからです。
- 一番薄い色で全体に色をのせる:空や背景など、広い面から塗り始めます。
- 乾かして中間色を重ねる:ドライヤーで乾かすと時短になります。ただし熱い風を当てすぎると紙が波打ちますので注意が必要です。
- 濃い色で影や輪郭を描き込む:最後に濃い色を使うと、絵が引き締まります。
- 白く抜きたい部分や細部を整える:ハイライトは、筆を水で濡らして絵の具を吸い取る方法でも作れます。
- 離れて全体を見て仕上げる:少し離れて見ると、足りない部分や描きすぎた部分に気づけます。
ここで、最近、僕が描いた絵で解説します。
これは、僕が最近描いた風景画です。題名は『夏のはて、何思ふ夏のくさ』。
「はて」と言うのは「終わり」と言う意味です。
もうすぐ秋がやってくる夏の終わりの季節に、夏草が生えているのを見つけ、もうじき枯れていく夏草の身になって「どんな気持ちなんだろう」と思い、留まることのない時の流れと、生命の命の儚さと、それを夏草は愚痴も言わずにただただ受け入れている気高さを思い、描きました。
僕は心象風景を描くのが好きです。絵の中に何かストーリーを感じるものを入れたいと思って描いています。
この気持ちを表したくて、夏草は決して青々とさせずに少し枯れ気味に着色し、地面と石垣に陰を落としました。
夏草やその横の笹のような草の所をマスキングして紙の白を残したあと緑色を入れています。
☟まず、鉛筆で下描きです。薄青い部分はマスキングをしている箇所です。

☟後ろ側の石垣の色を薄めに塗り始めます。マスキングしているので、塗り残しを意識せずに勢いよく塗れます。

☟石垣の濃い色や草むらの緑の陰も加えます。

☟岩肌の細かなゴツゴツ感を加えていきます。

☟草の陰を入れます。

☟岩肌の描き込みを進め、マスキングの周辺の着色が十分に塗れたら、マスキングを剥がします。

☟マスキングを剥がした箇所の葉の色を塗ります。

☟陽の木陰を入れて完成です。

中学生の水彩画によくある失敗と直し方
この章では、色の濁りや紙の波打ちなど、中学生がつまずきやすい失敗を、原因と直し方のセットで整理します。
失敗は原因さえ分かれば次の作品で防げます。
- 色が濁る:原因は混色のしすぎと、乾く前の重ね塗りです。混色は2色までにとどめ、下の色が乾いてから重ねてください。
- 紙が波打つ:原因は水の使いすぎと、薄い紙の使用です。厚手の水彩紙を使うか、描く前に紙を板に固定する水張りをしてください(水張りのやり方はこの記事を参考に☞『水張り』)。
- 絵が暗く重くなる:原因は、黒や濃い色を早い段階で使いすぎることです。薄い色から重ね、最後に締める色を置いてください。
- 細部を描きすぎて全体がまとまらない:原因は、部分ばかりを見ていることです。ときどき離れて遠くから眺めて全体を確認してください。
- 途中で自信をなくして筆が止まる:原因は、完成イメージと今の絵を比べすぎないことです。
僕は、絵の中に何かストーリーを感じるものを入れたいと思って描いています。
なので、絵が写実的で見えたままになってしまっている場合は、「つまらない。失敗した!」と感じてしまうのです。
でも、そう気づくときには、既にかなり描き進めていますから、いまさら描き直しの時間もありません。
そういうときは、絵を絵の具でわざと汚したり、一部の明度をグッと抑えたりして、絵の中に変化を付けて改善を試みます。
それで絵が「面白く」感じられるようになることが経験上多いと知っているからです。
コンクール・展覧会で評価される作品とは?
この章では、入賞作品の傾向と、主な水彩画コンクールの応募の考え方を解説します。
ひと言で言うと、上手さだけでなく「何を描きたかったか」が伝わる作品が評価されます。
入賞作品に共通する5つの特徴
中学生が応募する水彩画コンクールで評価される絵について、審査する側の視点から考えてみます。
水彩画歴が長く展覧会でも受賞した経験を踏まえると、技術的な優劣でなく、中学生が自分の感性を生かしながら、審査員の心に残る絵を描いているかという視点が重要だと思います。
展覧会の絵を観ていると、技術的には決して優秀とは言えない絵でも「グッと来る絵」に出会う時があります。
そういうとき、「絵は技術ではないな。」と思い知らされます。
結論から言うと、評価される可能性が高いのは、単に上手に描かれた絵ではなく、作者が何を感じ、何を表現したかったのかが伝わってくる絵です。
ただし、コンクールによって審査方針は異なります。以下では、一般的な絵画コンクールを想定して解説します。
①何を描きたいのかが伝わる
まず大切なのは、絵の中に作者の伝えたいものがあることです。
例えば、同じ桜の木を描く場合でも、次のような違いがあります。
- 桜の花を正確に描くことを目指した絵
- 春の訪れに心が弾む気持ちを表した絵
- 散り始めた桜を見て、過ぎていく時間を感じさせる絵
- 誰もいない桜並木を描き、静けさや寂しさを表現した絵
どれも題材は桜ですが、作者が何を表現したいかによって、作品の印象は大きく変わります。
審査員の心に残る作品には、しばしば「この絵を描いた人は、何かを感じているのだろう」と思わせる力があります。
トンボ鉛筆のコンクール中学生の部の入賞作品の題名を見ると、「変わらぬ光景」「わらぶき屋根とトンボ取り」「秋風」「夕焼けに惹かれたトンボ」など、作者の実体験や、心に残った場面を思わせるものが並んでいます。
もし、この記事を読まれている親御さんが、お子さんを指導する際には、何を描くかだけでなく、なぜそれを描きたいのかを本人に考えてもらうことが大切だと思います。
②構図に工夫がある
構図は、作品の第一印象を大きく左右します。
例えば、風景画なら次のような工夫が考えられます。
- 主役となる木を画面の中央から少しずらす
- 道や川を使って、見る人の視線を奥へ導く
- 手前に大きなモチーフを配置し、遠近感を生み出す
- 空の面積を広く取り、開放感を表現する
- あえて余白を残し、静けさを感じさせる
ここで重要なのは、「構図の決まり」を守ること自体が目的ではないという点です。
例えば、主役を中央に配置した構図でも、圧倒的な存在感や安定感があれば、十分に魅力的な作品になります。
反対に、構図の基本を理解していても、画面全体が平凡で、見る人の視線がどこにも向かわない場合は、印象が弱くなることがあります。
構図は、作者が伝えたいことを最も効果的に見せるための手段です。
③色彩に自分らしさがある
水彩画では、色彩の使い方も重要な評価要素になり得ます。
例えば、夕暮れの風景を描くとき、空を単にオレンジ色に塗るだけでなく、紫や青を組み合わせれば、夕暮れの深まりを表現できます。
また、木々の緑をすべて同じ色で塗るのではなく、光の当たる部分には明るい黄緑を、影には青みを帯びた緑を使うことで、空間の広がりが生まれます。
中学生の作品では、次のような点に注目するとよいでしょう。
- 色の組み合わせに工夫があるか
- 明るい部分と暗い部分が効果的に使われているか
- 作品全体に色彩のまとまりがあるか
- 目の前の景色を写すだけでなく、自分なりの色で表現しているか
ただし、鮮やかな色をたくさん使えば評価されるわけではありません。
淡い色彩で静けさを表した作品もあれば、強い色彩で生命力を表現した作品もあります。
大切なのは、色彩と作品のテーマが結びついていることです。
④水彩画ならではの表現が生きている
例えば、次のような表現です。
にじみ:濡れた紙の上で色を広げ、霧や雨、遠くの山並みなどを柔らかく表現します。
透明感:紙の白さを残しながら薄い絵の具を重ね、光や空気の明るさを表現します。
筆の動き:木々の葉や草むらを細かく描き込むのではなく、筆の勢いやタッチによって自然の生命力を表します。
偶然に生まれた表情:水と絵の具の動きによって生まれる予想外のにじみや色の広がりを、作品の一部として取り入れます。
もちろん、にじみや透明感を使わなければ水彩画として評価されない、ということではありません。
大切なのは、技法を披露することではなく、水彩画の技法が作品の魅力を高めていることです。
また、中学生の場合、大人の画家のような完成度を無理に目指す必要はありません。
本人の素直な表現や、思い切った筆遣いが作品の魅力になることもあります。
⑤作者の個性や独自の視点がある
これも非常に重要なポイントだと考えます。
例えば、同じ海を描く場合でも、次のような作品が考えられます。
- 青い海と白い波を美しく描いた作品
- 海辺で遊ぶ家族の楽しさを表現した作品
- 海面に映る夕日を描き、時間の流れを感じさせる作品
- 海岸に残されたごみを描き、環境問題について考えさせる作品
- 荒れた海を描き、自然の力強さを表現した作品
いずれも海を題材にしていますが、作者の視点は異なります。
評価される作品を目指すとき、ほかの人が描いた絵を参考にすることは有益です。
しかし、入賞作品の構図や色彩をそのまままねるだけでは、本人ならではの表現は生まれにくくなります。
「みんなが描きそうな絵」から一歩進んで、「自分だからこそ描きたい絵」を見つけることが重要です。
ここで注意したいのは、これらが特定のコンクールの公式な審査配点ではないということです。
例えば、写実的な描写力を重視する審査もあれば、自由な発想や独創性を重視する審査もあります。
また、環境問題や地域の自然など、明確なテーマが設定されているコンクールでは、テーマをどのように理解し、作品に反映しているかも重要になります。
応募先の目的や募集要項を確認することが大切です。
主な水彩画コンクールと応募の流れ
学生が応募できるコンクールには、文具メーカーが主催するものや、自治体・新聞社が主催するものがあります。
応募要項は更新されるので、必ず公式サイトで最新の募集期間・サイズ規定・応募方法を確認してください。
一般的な準備の流れは、次のとおりです。
- 公式サイトで応募資格・テーマ・サイズ・締切を確認する
- 題材を決めて、制作期間を逆算する
- 完成後、規定どおりに作品を梱包して提出する
☟僕が個展を開いたときの様子

僕は、社会人になってしばらくしてから絵に目覚めたので、学生が対象の絵画展には出展したことはありませんが、近隣の街のギャラリーにいつも出展しています。
そこでは、定期的に展覧会を開催していて、ギャラリーの店頭をはじめSNSを通じて出展募集の案内が発信されます。
締め切りの2ヶ月くらい前には発信されるので、よほど大型作品を制作しない限り、時間的には余裕があります。
そして、搬入期日までにセッセと作品作りに励むのです。
毎回、テーマを自分なりに模索しています。
定期開催なので、僕の場合、だいたい「季節」をテーマにすることが多いです。
僕の場合、サイズはF4かF6で描きます。
一枚描くのに、最短で1週間、最長で1ヶ月ほどかけます。
そして、絵に合う額とマットに額装してギャラリーに持ち込みます。
持ち込むときに出展料を支払って手続き完了です。
水彩画を長く楽しむための心構えと続け方
この章では、技術面だけでなく、水彩画を何年も楽しみ続けるための考え方をお伝えします。
絵は「上手い・下手」だけで測るものではないからです。
絵を描く時間は、上達のためだけでなく、自分の見た景色や感じたものを一枚の紙に残すための時間です。
同じ景色を見ても、描く人によってまったく違う絵が生まれます。
だからこそ、他人の絵と比べるより、自分の世界を自由に表現することを優先してください。
みなさんは、絵を描いていて、こんな気持ちになったことはありませんか?
「思ったように描けない」、「何度描いても、うまくいかない」、「もう描きたくないな……」
一生懸命に描いているのに、どうしてもうまくいかない。
そんなときは、自信をなくしてしまうこともありますよね。
実は、長年水彩画を描いてきた僕にも、そんな時期がやってくることがあります。
不思議なことに、絵を長く続けていても、突然、絵を描きたくなくなってしまうことがあるのです。
これは、とても苦しいことです。
特につらいのは、展覧会が近づいているときです。
締め切りが近づいているのに、どうしても描く気持ちになれない。
「描かなきゃいけない」と思えば思うほど、気持ちが重くなってしまいます。
そんなとき、僕はどうすると思いますか?
僕は、敢えて絵を描かないようにします。
そして、絵のことも考えないようにするのです。
無理に筆を持っても、楽しく描けないと良い絵は描けません。
それどころか、ますます自信をなくしてしまうことだってあります。
だから、そんなときは、いったん絵から離れてみるのです。
そして、自然や街の風景を眺めたりしながら、ゆっくりと時間を過ごします。
木々の緑や、空の色、雲の形、光に照らされた山や水面や、街の賑わい。
それらの中には、心を動かしてくれるものがたくさんあります。
そんな風景を眺めていると、気持ちが少しずつ落ち着いてくることがあります。
もちろん、すぐに絵を描きたくなるわけではありません。
それでも、焦らずに過ごします。
そして、また描きたくなるときが来るのを待ちます。
絵を描けない時間は「充電期間」です。
みなさんの中にも、絵の宿題が出たり、コンクールに応募したりして、「早く描かなきゃ」と焦ってしまう人がいるかもしれません。
そんなときに、僕からひとつ伝えたいことがあります。
絵を描く気持ちになれないときは、無理に描こうとしなくてもいい。
休んだからといって、それまでの努力がなくなるわけではありません。
絵を描かずに過ごす時間も、決して無駄ではないのです。
絵筆を一旦、横に置いて、他の教科の勉強をしてみるのも良いかもしれません。
また、いつもと違う場所を歩いたり、好きなことをして過ごしたりする。
そんな時間の中で、ふと心が動く瞬間があるかもしれません。
「あの空の色、きれいだな」、「こんな風景を、水彩画で描いてみたいな」「この体験を絵にしてみたいな」
そんな気持ちが生まれたら、それは、また絵を描きたくなるきっかけになるかもしれません。
もちろん、すぐに描きたい気持ちが戻ってこなくても大丈夫です。
人によって、気持ちが回復するまでの時間は違います。
ただし、学校の課題など、期限のあるものについては、いつまでも一人で抱え込まず、先生や家族に相談してみてくださいね。
自分の気持ちを大切にしながら、描き続けていきましょう。
絵を描いていると、楽しいことばかりではありません。
失敗することもあれば、自信をなくすこともあります。
長く続けていても、思うように描けない時期はやってきます。
でも、それだけで「自分には絵の才能がないんだ」と決めつけないでほしいです。
今日は描きたくなくても、いつかまた、筆を持ちたくなる日が来ます。
僕自身も、そんな時間を過ごしながら、今も水彩画を描き続けています。
だから、みなさんも、うまく描けない自分を責めないでください。
描きたいときには、思いきり描く。描きたくないときには、少し休んでみる。
そんなふうに、自分の気持ちと上手につき合いながら、絵を楽しんでいってほしいと思います。
絵は、誰かに言われたから描くものではなく、自分の心が動いたときに描くからこそ、楽しいものなのだと僕は思います。
焦らなくても大丈夫。
また描きたいと思える日が来たら、そのときに、ゆっくり筆を持ってみましょう。

中学生の水彩画に関するよくある質問(FAQ)
この章では、中学生とその保護者の方から寄せられやすい疑問に、短く具体的に答えます。
Q1. 水彩画を描くのに、最初に買うものは何ですか?
透明水彩絵の具12色セット、丸筆2〜3本、水彩紙、パレット、筆洗い(水入れ)です。
学校で使っているセットがあれば、まずそれを使い、足りないものだけ買い足してください。
Q2. 色が濁らないようにするには?
混色を2色までにして、下の色が完全に乾いてから重ねてください。
明るい色から暗い色の順に重ねるのも、濁りを防ぐ大切なコツです。
Q3. 絵が下手で自信がありません。どうすればいいですか?
上手い・下手よりも、自分が何を描きたいかを大切にしてください。
最初は好きな作家の絵を真似ることも、技法を早く身につける有効な方法です。
僕自身も、憧れの作家の絵を真似することから始めました。
Q4. コンクールに出すには、どれくらい準備が必要ですか?
応募要項によって異なりますが、構想から完成まで1か月以上を見込むと余裕が持てます。
公式サイトで、締切とサイズ規定を最初に確認してください。
Q5. 水彩画は、どのくらいで上達しますか?
個人差はありますが、真似て描くことを続けると、半年ほどで上達を実感しやすくなります。
僕自身も、憧れの作家の絵を真似し始めて半年ほどで、上達を感じるようになりました。
まとめ
水彩画は、道具をそろえすぎず、基本技法を押さえ、身近な題材から描き始めることで、確実に上達します。
そして何より、自分の見た景色や感じたものを、自由に一枚の紙に残す楽しさを知ることが、長く続ける力になります
僕が特に大切だと考えているのは、コンクールで評価されることを目指しながらも、あなたにしか描けない絵を大切にすることです。
技術を身につけることも、構図や色彩を工夫することも大切です。
しかし、それらは本来、自分が表現したいものを、より豊かに伝えるためにあるのだと思います。
描いた絵を見て、形が少し違っていたり、色の使い方が独特だったりしても、そこに自分の感じ方や発想が表れているなら、すぐに修正するのではなく、その良さを伸ばすべきです。
この記事を参考に、まずは一枚、描いてみてください。
その一枚が、あなたの水彩画の出発点になります。
あなたの次の作品が素敵なものになりますように。。。
では、、、また。


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こんにちは 心象水彩画家のBakkyです 水彩画たのしんでますか?