水彩画を始めるとき、避けて通れないのが「パレットの準備」です。
実は、水彩絵の具は「パレットに出して、完全に乾かしてから使う」のが正しい方法であることをご存知でしょうか。
絵の具をあらかじめ固めておくことで、屋外への持ち運びが驚くほど楽になり、いつでも手軽に描き始められます。
この記事では、使い勝手が抜群によくなる水彩画パレットの作り方や、プロも実践する色の並べ方、失敗しない乾燥のコツを詳しく解説します。
最後まで読めば、まるでプロの画室にあるような、自分だけの使いやすい相棒パレットが完成しますよ!
水彩画を始めたばかりの方は、まず必要な道具全体を知っておくと失敗が少なくなります。
ぜひ、この記事も参考にしてください。
☞『【初心者必見】水彩画の始め方|道具・絵の具・紙・描き方を総合解説』
水彩画のパレットは「絵の具を乾かして使う」のが基本!そのメリットとは
おそらく、みなさんは小学校の図画工作の時間に絵の具で絵を描いたことがあると思います。
そのときは、絵を描く度に絵の具のチューブからパレットに絵の具を出してから描いていませんでしたか? 僕もそうでした(苦笑)。
授業が終わったら、パレットの絵の具は毎回キレイに洗い流していました。
でも、これはマチガイだったんです。
水彩画では、チューブから出したばかりの柔らかい絵の具ではなく、パレット上で一度乾燥させて固めた絵の具を使うのが基本です。
この方法には、水彩画をより手軽に快適に楽しむための重要なメリットがあります。
なぜ乾かすの?毎回チューブから出す手間を省くため
水彩絵の具は、アクリル絵の具とは異なり、一度乾いても水で濡らせば何度でも溶かして使うことができます。
そのため、最初にパレット上に絵の具を準備しておけば、描くたびにチューブのキャップを開け閉めする手間がなくなります。
「描きたい!」と思った瞬間に、筆に水を含ませるだけでサッと描き始められる機動性の高さが、絵の具を乾かす最大の理由です。
また、毎回必要な分だけを溶かして使うため、絵の具を使い残して無駄にしてしまうことを大幅に減らすことができます。

水彩パレットに最適な素材の選び方(プラスチック vs 金属)
水彩パレットの素材には、主に「プラスチック製」と「金属(アルミorスチール)製」の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。
初心者の方や手軽さを重視するなら、軽くて安価なプラスチック製が扱いやすいでしょう。廉価のものを求めるなら100均でも購入可能です。
一方で、水彩画に慣れてきて長く本格的に水彩画を続けたい方には、色馴染みが良く堅牢な金属製パレットが非常に人気です。
それぞれの素材のメリット・デメリットを理解し、自分の制作スタイルや予算に合わせて最適なものを選びましょう。
僕が水彩画の習い始めに使い出したのは街の文房具店で購入したプラスチック製のパレットでした。
その後、水彩画の通信教育を受講したとき付録の、パンカラー絵の具がパレットと一体になった物をしばらく使っていました。
そして、水彩画の教室に通い始めたときから金属製のパレットを使い始め、今に至っています。
プラスチック製の良いところは価格の安さと軽さです。
とても廉価なので気兼ねなく購入することができますし、プラスチック製なのでとても軽量です。
そのかわり、プラスチック製は長い間使っているうちに筆などで擦れて微少な擦り傷ができてしまい、そこに絵の具が入り込んで薄く色付いてしまうことがあります。
パレットが白い色で出来ているのは、作る色目が分かるためですが、汚れてしまうと、色目が正しく見えないので新しいパレットに替えた方が良いです。このようにプラスチック製のパレットにも一長一短があります。
一方、金属製のパレットの良いところは堅牢なところです。
間違って床に落としても割れることはまずないです。
また、金属製パレットの絵の具を入れるところや色を混ぜるところは、ホーロー塗装などが施されていることが多く、プラスチック製より堅牢です。
他方で、重量が嵩むことと比較的高価である点は金属製パレットの短所といえます。
・長く愛用し、色の見え方の正確さや頑丈さを求めるなら「金属製」がベスト
【プロ推奨】失敗しない水彩画パレットの具体的な作り方・手順
ここからは、実際に水彩絵の具をパレットに出して、使える状態にするまでの具体的な手順を詳しく解説します。
絵の具の場所を固定するので、色の配置に気を遣った方が良いです。
美しく使いやすいパレットを作るためには、絵の具の出し方から並べ方まで、いくつかの大切なルールがあります。
ステップ1:ウェルの奥から「空気が入らないように」絵の具を出す
絵の具をパレットに出すときは、手前からではなく、必ず「ウェルの一番奥」から隙間なく詰めるように絞り出します。
奥から隙間なく入れることで、絵の具が乾燥した際にパレットからポロッと剥がれ落ちるのを防ぐことができます。
また、絵の具の中に空気が入ってしまうと、乾燥したときにヒビ割れや気泡の原因になってしまいます。
まずチューブの先をウェルの奥に軽く押し当て、徐々に手前に移動しながら空気を押し出すイメージで、ウェルの半分〜8分目を目安に丁寧に入れていきましょう。

ステップ2:色の並べ方ルール
・並べ方その1:色相環を意識した並べ方
パレットに絵の具を並べるときは、バラバラに配置するのではなく、「色相環(しきそうかん)」を意識して並べます。
具体的には、赤→橙→黄→黄緑→緑→青→紫…というように、虹色の順番で並べていきます。
この順番で並べることで、使いたい色が一目でどこにあるか分かり、制作中の迷いがなくなります。
この並べ方のさらに良い点は、隣の色は類似色であるため、それ同士を間違って混色したとしても色の濁りが少ないことです。
さらに欲を言えば、これらの色を円形のパレットに色相環の順に置く方法です。
こうすれば、補色の位置までパレットの上に再現(パレットの反対側同士の色が補色関係)できますので、混色の理論を活かした色作りがパレットの上で容易にできます。
残念ながら、少なくとも12色以上のウェル(絵の具を入れるところ)がある円形パレットは少ないです。
・並べ方その2:同系色を意識した並べ方
同系色同士を並べる意識で並べる点は、前述の「並べ方その1」と同じですが、同系色の中で、より複雑あるいは微妙な色を近隣の場所に置く方法です。
この場合、隣のウェル同士に「並べ方その1」と比較して類似でない色が置かれることがあります。
そのため、集合同士の間に色を入れない空(カラ)のウェルを置くと、色が不意に混じってしまうことを防ぐことができます(下のパレットの写真をご覧ください)。

絵の具そのものについては、この記事が参考になると思いますのでぜひご覧ください。
☞『水彩画の絵の具はホルベインが最強?初心者向けおすすめ選び方』
僕は常々、透明感があって彩度の高い絵を描きたいと思っています。
このため、パレットの中には不透明の絵の具であるホワイトのガッシュは入れないようにしています。
ホワイトはチューブのままにしておき、必要に応じて絵皿の上で混色するようにしています。
もし、ガッシュが混じった絵の具をパレットに置いた場合は、パレットの使用後は忘れずに拭き取るようにしています。

ステップ3:完全に固まるまで「数日間」じっくり日陰で乾燥させる
絵の具をすべて出し終えたら、パレットを開いた状態のまま、直射日光の当たらない日陰で埃が被らないようにして数日間じっくりと乾燥させます。
表面が乾いているように見えても、内部が生乾きの状態だと、持ち運んだ際に絵の具が流れて混ざってしまう原因になりますので、じっくり時間をかけて乾かします。
季節や室内の温湿度にもよりますが、焦ってすぐに使ったり蓋を閉じてしまったりせず、指先で触っても跡がつかないくらいカチカチになるまでじっくり待ちましょう。
2. 色相環(虹の順)に並べ、必要に応じて空のウェルを作って混色を防ぐ
3. 直射日光を避け、埃の被らない日陰で最低でも数日間は動かさずに乾かす
パレット作りに最適!プロも愛用するおすすめメーカーと定番モデル
水彩画を始めるにあたり、どのメーカーのどのパレットを選べば失敗しないのかは非常に気になるポイントです。
ここでは、多くの水彩画愛好家やプロから絶大な信頼を得ている定番のメーカーとモデルをご紹介します。
ウェルの数やサイズはどう選ぶ?
初めてパレットを購入する際は、絵の具のセット(12色、18色、24色など)の数よりも少し「ウェルの数が多いパレット」を選ぶのがポイントです。
後から使いたい色が増えたときに、ウェルに余裕があれば、新しい絵の具を追加して自分好みにパレットをカスタムできるからです。
一般的には、初心者の場合でも24〜30ウェル程度のサイズを選んでおくと、将来的に長く使い続けることができます。
持ち運びやすさと、作業時の混色スペースの広さのバランスを考慮して選ぶようにしましょう。
また、最近市場に登場したモデルで、パレットに対してウェルが着脱自在になっていて、自分のパレットを簡単にカスタマイズできるものがホルベインから販売されています(ホルベインRP-24)。
これまでは、パレット上の絵の具のレイアウトを変更する場合は、パレットを水洗いして再度、絵の具をウェルに入れる必要がありましたが、このモデルですと、水洗いせずにレイアウトを組み直せるので、とても便利です。

長年愛用できる傑作「ホルベイン アルミ製水彩パレット No.80」
僕がいちばん長く使用しているのは、先ほども掲載したホルベインの金属製の水彩用パレット
パレットを持つとき親指を通す穴が付いたタイプですが、無いタイプでも支障ありません。
このパレットはホーローで表面処理していますので、混色するところもプラスチック製に比べると丈夫にできていて色移りも少ないです。
また、ウェルとウェルとの境目の仕切りの高さも十分にあるので、隣の色同士が不意に混ざったりすることも少ないでしょう。
ウェルの数がもっと多いタイプも販売されていますが、多いと全体のサイズが大きくなってしまいますので持ち運びに少し不便です。
長年この26ウェルタイプを使っていますが、まだ幾つかのウェルも使わずに残っているので、この位のウェル数のパレットが丁度使い勝手がよいと感じています。


パレット番外:旅先で大活躍する「自作の三原色ミニパレット」
僕は時々スケッチ旅行に行くことがあります。
そういうときには、重い金属製のパレットは少々ツライですので、コンパクトにまとめた水彩道具を持っていきます。
その一つが、三原色だけの手作りパレットです。
下の写真は、僕が菓子のケースを利用して作ったパレットです。


このお菓子は、中身が入った箱に蓋が付いていて、蓋をスライドさせて中身を出す構造でした。
この空箱の空洞部分をプラスチックの板で仕切り、ウェルをつくり、そこに三原色を入れて乾かしておきます。ウェル以外の部分は混色スペースです。
一方、もう一枚プラスチックの板を切っておき、面ファスナーを貼っておきます。
このプラスチックの板は、スケッチブックのページの間に差し込んでパレットを固定するためのものです。
蓋にも面ファスナーを貼っておきます。これで完成です。
蓋を外してパレットの底面の裏側に入れ、面ファスナーでプラスチックの板と蓋とをつないで、板をスケッチブックに挟めば、準備完了です。
とても薄くコンパクトですが、ちゃんと混色スペースもあります。
これと水筆とスケッチブックだけあれば、旅先でも水彩画が楽しめます。
ここまでコンパクトでなくてもいいよ、というかたは、もう少し大きいですがポータブルなものも、たくさん市販されていますので、ぜひ探してみてください。
【実例】私がやってしまった水彩画パレット作りの失敗談
どれだけ気をつけていても、最初のパレット作りでは思わぬトラブルが起こってしまうものです。
ここでは、私が過去に実際にやってしまった失敗談を紹介しますので、ぜひ反面教師にしてくださいね。
乾燥が半端のまま持ち運んでバッグの中が惨事に……
パレットに絵の具を出した明くる日、表面的に乾いて見えたので、「大丈夫だろう」と油断して、水彩教室に行くためのバッグに入れました。
しかし、移動中の振動やバッグの中の暖かさで、内部の生乾きだった絵の具が蓋の裏にベッタリと張り付いてしまいました。
隣のウェルの色とも混ざり合ってしまい、せっかく作ったパレットが台無しになり、バッグの中まで汚れる大惨事になりました。
それ以来、パレットに絵の具を出したときは、最低でも丸5日間は蓋を閉じず、完全に乾燥したのを確認してから持ち運ぶよう徹底しています。
隣り合う色同士が混ざって汚くなってしまった失敗
よく使う色の絵の具をウェルに出す際に、たびたび出すのが面倒だったのでウェルいっぱいに盛り盛りで絵の具を注入してしまったことがあります。
乾く過程で絵の具が少し収縮して落ち着くものの、仕切りの高さギリギリのところまで絵の具が達して乾いてしまいました。
そして、水を含んだ筆でその色に触れると、隣のウェルまで色がはみ出してしまうパレットになってしまい、絵の具の上の方を少し削るはめになってしまいました。
絵の具を出す量は、ウェルの仕切りの上辺よりも一歩手前(7〜8分目)に留めておくのが、快適に使い続けるための隠れたコツです。
水彩画パレットを長く快適に使うためのお手入れ・洗い方
パレットは、適切にお手入れをすることで何年、何十年と愛用し続けることができます。
ここでは、日常的なメンテナンスの方法と、よくあるトラブルへの対処法をご紹介します。
パレットの「混色スペース」の掃除
パレットを使い終わったら、優しく絵の具をふき取ります。
強くゴシゴシ擦るのは絶対にNGです。
基本的には、濡らしたスポンジやウエス(雑巾)、ティッシュなどを使って、混色スペースの汚れを優しく拭き取るように掃除しましょう。
このとき、水彩パレットを丸ごと流水で洗うのは、ウェルに固めた絵の具まで溶け出してしまうためNGです。
パレットの「ウェル」の掃除
ウェルに入っている絵の具は、混色のたびに表面に他の色が付着しています。
パレットを使い終わったら、次に使うときのためにきれいな水がついた筆で表面を軽くなでて、他の色が付着している部分をふき取ってあげましょう。
パレットの「混色スペース」は毎回洗うべき?
「絵の具を混ぜ合わせる混色スペースは、描き終わるたびに水洗いする必要がある?」との問いには、必ずしも毎回綺麗にする必要はないと思います。
特に、絵の制作途中に筆を休める場合は、前の絵の具の色が残っていることの方が都合が良いです。制作を再開した時に、色が急に変わってしまうことが少ないからです。
そういう理由もあって、僕はパレットは洗わずにいつもそのままにしています。
ただし、彩度の高い色で全く新規な絵を制作したい場合は、一度パレットを綺麗にしてから色づくりするようにしています。

固まった絵の具がポロッと取れてしまったときの対処法
長年パレットを使っていると、乾燥が進んだ絵の具がウェルからポロッと丸ごと剥がれてしまうことがあります。
この場合、慌てて捨てたり新しい絵の具を出し直したりする必要はありません。
ウェルの底に水を1〜2滴垂らし、その上に剥がれた絵の具をそっと戻して、上から軽く指で押し当ててください。
そのまま一晩放置して再度乾燥させると、溶けた絵の具が接着剤の代わりとなり、再びしっかりとパレットに固着します。
水彩画パレットの作り方に関するよくある質問(FAQ)
最後に、初心者の方が迷いがちな疑問について、Q&A形式で分かりやすく解決していきます。
Q1. アクリル絵の具も同じようにパレットで固めて使えますか?
A1. いいえ、アクリル絵の具はパレットで固めて使うことはできません。
アクリル絵の具は、一度乾燥すると耐水性のプラスチック膜に変化するため、水をつけても二度と溶けなくなります。
パレットの上で固めてしまうと、パレット自体が使えなくなってしまう(剥がせなくなる)ため、必ず使う直前に必要な分だけ出すようにしてください。
Q2. 乾いた絵の具は何年くらい持ちますか?
A2. 保存状態が良ければ、数年〜10年以上経っても問題なく使えます。
固まった透明水彩絵の具には消費期限がほとんどなく、ホコリやカビに気をつければ、10年前に固めたものでも水で溶かして描くことができます。
長期間使わない場合は、パレットをしっかり閉じて、直射日光の当たらない風通しの良い場所に保管しておきましょう。
まとめ:自分だけの使いやすい水彩画パレットを作ろう!
* 色相環や色のグループを意識して並べる
* 日陰で3日〜1週間、完全に芯まで乾燥させる
水彩画のパレットは、一度正しく作ってしまえば、日々の絵画ライフを何倍も快適にしてくれる最高の道具になります。
この3つのポイントを意識して、ぜひあなただけのこだわりのパレットを作り上げてみてください。
お気に入りの道具が手元にあるだけで、毎日のスケッチの時間がもっと楽しく、愛おしいものになりますよ!
パレットが完成したら、実際に風景を描いてみましょう。こちらの記事も参考にしてください。
☞『透明水彩画で風景を描くコツ!初心者が迷わず描ける3つのステップ』
では、、、また。





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こんにちは!水彩画家のBakkyです 水彩画たのしんでますか?