近年、ダイソーやセリアなどの100円ショップでも、画材や水彩紙が販売されています。
高級水彩紙を買う前に、まずは手軽な100均の紙で練習してみたいと考える方も多いはずです。
この記事では、100均の水彩紙を本気で検証し、実際の描き味などを徹底解説します。
今回、調査して貴重なデータも得られましたので、ぜひ最後までご覧戴き、購入の際の参考にしていただけたら嬉しいです。
この記事を読むことで、ご自身の目的に合った最適な水彩紙が見つかり、失敗せずに水彩画をスタートできるようになります。
まずは、100均の水彩紙を使うメリットと、選ぶ際の注意点から見ていきましょう。
水彩画を始めるために必要な道具全体を知りたい方は、こちらの総合ガイドも参考にしてください。☞『【初心者必見】水彩画の始め方|道具・絵の具・紙・描き方を総合解説』
100均の水彩紙は使える?選ぶメリットと注意点
・100均の紙のコストパフォーマンスの高さとメリット・デメリット
・高級水彩紙と100均紙における構造や描き味の根本的な違い
市販の水彩紙との違いや選び方について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
☞『【水彩紙 選び方】初心者が失敗しないおすすめ水彩紙を徹底比較』
100均で買える水彩紙・画用紙の種類と特徴
100均には、主に「水彩紙」「スケッチブック」「画用紙」と表記された3種類が並んでいます。
通常、水彩紙として売られているものは、水分をある程度は弾くように出来ています。
紙の表面にサイジング(にじみ止め加工)という処理をしているからです。
今回、ダイソー、セリア、Can★Doで様々な紙を購入しました。
これらのお店では、ハガキサイズからブックタイプ、スケッチブックタイプまで幅広い形状が展開されています。
まずは店頭でどのようなラインナップが並んでいたか、それぞれのパッケージを確認してみましょう。
☟ダイソーで購入した紙です。

☟セリアで購入した紙です。

☟CanDoで購入した紙です。

紙以外の100均画材については、こちらの記事で詳しくレビューしています。
☞『ダイソーの水彩用道具は使える?実際に買って描いてみた正直レビュー』
近所にある100均の店舗に並んでいた紙は、意外にバラエティに富んでいて、その種類の多さに驚かされました。
取りそろえた紙は以下の表の14種類です。
表にありますように、厚みも大きさも枚数もマチマチでした。

比較サンプルとしてNo.15「ホワイトワトソン厚口190g/中性紙/30枚入り PHW-104」(価格約700円)を加えています。

高級水彩紙と何が違う?100均の紙のメリット・デメリット
100均の紙の最大のメリットは、何と言っても圧倒的なコストパフォーマンスで、失敗を恐れずにたくさん練習できる手軽さにあります。
一方で、高級水彩紙(コットン100%など)と比べると、厚みやサイジング(にじみ止め加工)の強さに違いがあります。
そのため、水の弾きが悪かったり、何度も色を重ねたりすると、紙の表面が傷んでしまうリスクもあります。
こうした特徴を理解した上で選択するとよいでしょう。
【徹底検証】100均の水彩紙で実際に絵の具を塗ってわかった実力
・水を塗った際の水分の保持性や、乾いたときの紙の波打ち度合い
・発色性、リフト性、表面強度、耐マスキング性といった水彩ならではの性能評価
今回、ダイソー、セリア、Can★Doで購入した紙を評価しました。
それぞれの店舗で置いてある紙は前述の通りですが、僕の自宅近所の店舗の品揃えが、たまたまこうだった可能性もありますので、お求めの際は、店舗名はあくまで参考にしつつ商品名で探すようにしてください。
さて、実際に水彩絵の具を乗せて評価してみると、撥水の程度や保水の善し悪しに差があることが分かりました。
以下の写真は今回のテストに使用した紙の様子です。
写真の中に記載したような項目を評価しています(全サンプルは末尾にまとめて掲載します)。
参考までに、使用した色は以下の通りです。
・赤:キナグリドンオペラ
・黄:イミダゾロンレモン
・青:ウルトラマリンディープ
・茶:バーントシェンナ
・緑:ビリジャン

この結果を一覧表にまとめたものが、下の表です。

外観
それぞれ触ったときの感触に違いがみられました。
表に示したように紙の厚みを5段階で表しました。
「1」が一番薄く、数字が大きくなるにつれ、厚くなります。
同じ100均の紙でも、「厚み1」の紙は「ぺらぺら」で、コピー用紙に近い感触です。
一方、「厚み5」の紙(サンプルNo.2)は高級水彩紙の「ホワイトワトソン厚口」(サンプルNo.15)と同レベルの厚さで、感触も「しっかり」としています。
また、厚みだけではなくて、表面の粗さにも違いが見られました。
表面の粗さは「粗」「滑」の2段階で表しました。
100均で販売されている紙の大部分は、紙の表面が滑らかなもの(細目)が多いです。
偶然かもしれませんが、100均の紙の中では、高級水彩紙メーカーのマルマンが提供している紙のみ(サンプルNo.1~3)が「粗」でした。
念のために書きますが、「祖」だから悪く、「滑」だから良い、というわけではないです。
紙の表面粗さは、描き味や向いている技法にかかわります。
「粗」は滲みやぼかしがしやすく、「滑」は細密な絵に適しています。
紙の波打ちの程度の比較検証
まずは、紙の波打ちの程度をテストしました。
各紙をハガキ大の大きさに切りそろえ、部屋の温度約25度、相対湿度約50%の条件のもと、水を刷毛で一度塗りして自然乾燥させ、波打ちの様子を観察しました。

結果は以下の写真のようになりました。
全ての紙で、水塗り直後は波打ったものの、乾燥後は比較対象のホワイトワトソン厚口190g(サンプルNo.15)と比較しても、さほど差がありません。

いずれも乾燥後は「水張りすれば支障ないレベル」であることが分かりました。
ただ、水張りしない場合ですと、薄い紙では、着色するときの描きにくさを感じると思いますので、基本的には水張りをお勧めします。
水張りのやり方についての詳しい解説はこちらの記事も参考にしてください。
☞『【水彩画 水張り】初心者でも失敗しない水張りのやり方完全ガイド』
撥水性や水保持性
撥水性や水保持性は水彩画の描き味に直接かかわるものです。
水彩画に使う紙は、ある程度の撥水性がないと描けません。
撥水性があるからこそ、にじみやぼかしやグラデーションが可能です。
撥水性が極端に悪いと、まるで濾紙のように、滲みやぼかしが困難になります。
水滴が吸収される迄の時間と、長い直線を描いたときの「かすれ具合」で撥水性を比較しました。
検証したところ、水滴が吸収される迄の時間は全ての紙で相当に長い結果となりました。
また、「かすれ具合」では、サンプルNo.1、2が、比較サンプルNo.15のホワイトワトソンと同等の撥水性を示していました。
残りのサンプルは撥水性があまり見られませんでした。
塗りやすさや表現の幅を考えれば、やはり撥水性の良いものがお勧めです。

水保持性(乾き性)
水保持性は、ウェット状態の維持時間で比較しました。
黄色を塗って直後から30秒ごとに3回に分けて赤色を塗ります。
保水力が高いと、黄色が乾きにくいので、赤が滲みやすいです。
水保持性は、にじみやぼかしやグラデーションの技法に加えて、ウェットインウェット、つまり先に塗った色が乾かないうちに次の色を塗る技法に関係します。
すぐに乾いてしまう紙では、この技法が難しいです。
発色性
発色性は、その名のとおり発色の良し悪しに関係する項目です。
評価の結果、紙によって発色や色ムラに差が見られました。
特に、紙の厚みが薄く紙表面が滑らかな紙(サンプルNo.4~13)で、この結果が良くない傾向が見られました。
リフト性
水彩画は修正が効きにくい画法ですが、その一つに色を抜きにくいという理由があります。
色を抜くことを「リフト」あるいは「リフティング」と言います。
色を塗って乾かした部分を水筆で優しく複数回(今回は10回)撫でて色の取れ具合を観察し評価します。
リフト性は修正の容易さや、光の表現など水彩独特の表現のし易さに関係します。
表面強度
表面強度も重要な項目です。
水彩画の技法でスクラッチ(紙の表面をカッターナイフや筆の柄の部分で擦って、色を抜く技法)がありますが、この技法のやりやすさを左右します。
弱い紙だと穴を開けてしまうことになります(今回の評価で、実際に穴が開いたものがありました)。
耐マスキング性
マスキング技法は、最近の水彩画では頻繁に使われる技法です。
前述の表面強度にも関連しますが、弱い紙だとマスキング液を剥がすときに紙表面が荒れたり、剥離したりします。
こうなると、絵具を塗ってもきれいな発色になりません。
今回のサンプルですと、「画用紙」と書かれたものに耐マスキング性の低いものが多く見られました(サンプルNo.6~8、11~13)。
100均の水彩紙を上手に使うための独自のコツと失敗を防ぐ方法
・僕が初めて100均紙を使った際に驚いた、高級水彩紙との描き味のギャップ
・100均紙の強みを最大限に活かせる初心者向けのおすすめ技法
まずは、今回の総合評価で7点以上の結果になったものを使うのをお勧めします。
しかし、マスキング技法を使わない前提であれば、7点未満のものでもよいでしょう。ただし、使うにはやはりコツが必要です。
水分量のコントロールが鍵!よれや破れを防ぐ描き方
100均の水彩紙をそのまま使うと、水分の多さによって紙が激しくよれたり、最悪の場合は破れてしまったりします。
この失敗を防ぐための最も効果的な対策は、描く前に紙の四方をテープで固定する「水張り」を行うことをお勧めします。
また、筆に含ませる水量を意識的にコントロールし、一度に大量の水を筆に含ませない、といった工夫も求められます。
これにより、総合評価点の低い紙であってもフラットで綺麗な仕上がりをキープできるようになります。
僕が初めて100均の紙を使ったとき、少なからず驚かされました。
それまで使っていた高級水彩紙(ウオーターフォードやアルシュなどの中目)と描き味がかなり違っていたからです。
特に、撥水性や保水性が低いので、広い面をウオッシュする場合はムラができやすく、にじみのコントロールも慣れるまでに少し時間がかかりました。
初心者におすすめ!100均の紙に向いている水彩画の技法
100均の水彩紙は、何度も色を重ねる重厚な表現よりも、少ない手数で仕上げる技法に向いています。
例えば、あらかじめ紙を濡らさずに直接絵の具を塗る「ウェット・オン・ドライ」は、紙を傷めにくいため最適です。
また、イラストの背景に少しだけ色を乗せるような、ライトな水彩表現や絵手紙などや、色鉛筆(水彩色鉛筆を含む)も十分に描くことができます。
紙の限界を知ることで、むしろその特性を活かした軽やかな作品作りをコスパ良く楽しむことができるでしょう。
また、100均の紙には表面粗さが滑らかなものが多いので、その紙を使うならば、「ウェット・オン・ドライ」で緻密な絵を描くのが適していると思います。

【結論】水彩画初心者が最初に買うべき100均のおすすめ紙はこれ!
・比較用の高級水彩紙「ホワイトワトソン」を初心者に知ってほしい理由
・画材メーカー大手の「マルマン製」が圧倒的に優秀だった背景と考察
100均で購入できる様々な水彩紙を徹底的に比較検証してきました。
水彩画初心者が「まず1冊目に買うべき100均の紙」を決定します。
それぞれの紙には一長一短がありますが、描きやすさ、手に入りやすさ、コスパのバランスを総合的に評価しました。
あなたがこれからどのような絵を描きたいかによっても、選ぶべき選択肢は変わってきます。
今回の評価でベストな紙は、マルマン製の以下の3種類が同点1位です。
- サンプルNo.1「Sketchポストカードサイズ画用紙厚口20枚入りHS-52A」
- サンプルNo.2「Sketchポストカードサイズ画用紙特厚口15枚入りHS-53A」
- サンプルNo.3「SketchBook DS-B6A」
因みに、比較サンプルNo.15の「ホワイトワトソン厚口190g/中性紙/30枚入り」も、僕としては、使っていただきたいのですが、30枚入りで約700円と、100均のものと比べると、やはり安くはないです。
「まずは水彩画を試してみたい。」というかたは、ぜひ一度、前述のマルマン製(サンプルNo.1~3)のものを試してみてください。
なお、サンプルNo.3「SketchBook DS-B6A」は、今回はB6版の大きさのものをサンプリングしましたが、より大きなサイズのものも100均で購入できますので、大きい絵を描きたい方は、そちらもお試しいただけます。
今回、100均の紙を評価して、やはり有名水彩紙メーカーの作った紙が良い結果だったな、と感心しました。
一方で今回、総合評価の高くなかった紙も、前述のように使い方を工夫すれば、十分に使えます。
100均の水彩画用の紙に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 普通の画用紙と「水彩紙」は何が違いますか?
A1. 大きな違いは「水への耐性」と「表面の凹凸(紙肌)」にあります。
普通の画用紙は水を吸い込みやすく、ふやけて表面が荒れやすい傾向を持っています。
一方の水彩紙は、水を塗っても弾きやすいように特殊な加工が施されており、絵の具のにじみを美しく表現できます。
水彩画を描くのであれば、100均であっても「画用紙」ではなく「水彩紙」と明記されたものを選ぶのがベターと考えられますが、製品の名称だけで判断すると失敗します。
実際、今回良い評価結果となった三点のうち二点は、意外にも「画用紙」となっています。
今回の評価結果が購入時の参考になれば嬉しいです。
Q2. 100均の紙で本格的な重ね塗りはできますか?
A2. 結論から言うと、3層や4層を超えるような本格的な重ね塗りを100均の紙で行うのは避けた方がよいです。
100均の水彩紙は、着色や水を何度も重ねると表面の「サイジング(にじみ止め)」が落ちてしまいます。
すると、紙が急に弱くなり表面が荒れ、紙が削れて消しゴムのカスのようになってしまったりするため、重ね塗りは2層程度にとどめるのが無難です。
本格的な技法に挑戦したくなったタイミングが、高級水彩紙へステップアップする絶好の機会と言えます。
僕は、水彩画を始めた当初から水彩専門紙を使っていたので、初めて100均の紙を使ったときは、少なからずびっくりしました。描き味が全く異なると感じたからです。一瞬「自分の画力が落ちた!」と思ったほどでした(苦笑)。
高級水彩紙を使ったときの描き味の良さは、やはり優れたものがありますし、加えて、表現できる幅が異なります。
水彩画の習いはじめに「お試し」で100均の紙を求めるのはアリですが、それを過ぎたら、やはり高級水彩紙で練習するのが良いと思います。
たとえば、この記事で触れたホワイトワトソンも良いですし、もう少し高級なウオーターフォードやアルシュも是非使ってみてください。
まとめ:100均の紙を活用して手軽に水彩画を楽しもう!
・検証の同点1位は「マルマン製」の3種類。ダイソーなどで手に入る可能性が高い
・水の量をコントロールし、「ウェット・オン・ドライ」で描くのが上手に仕上げる最大のコツ
-1024x681.jpg)
100均の水彩画用の紙は、高級水彩紙には及ばないものの、中には初心者の練習用としては十分すぎる実力を持っているものがあります。
コストを気にせず、毎日何枚でものびのびと練習できる環境は、上達への大きな味方になります。
紙の特性をしっかり掴み、水分量に気をつけながら描けば、100均紙とは思えない素敵な作品が作れます。
あなたも、お近くの100円ショップに足を運び、お気に入りの1冊を手に入れて水彩画への一歩を踏み出してみましょう。
今回の記事の情報があなたの水彩ライフを後押してくれるものになると嬉しいです。
では、、、また。
こちらの記事も参考にしてください。
☞『【水彩紙 選び方】初心者が失敗しないおすすめ水彩紙を徹底比較』
☞『【水彩画 水張り】初心者でも失敗しない水張りのやり方完全ガイド』
☞『【初心者必見】水彩画の始め方|道具・絵の具・紙・描き方を総合解説』
☞『【水彩画 描き方 初心者】絵を構成する要素別描き方をやさしく解説』
☞『ダイソーの水彩用道具は使える?実際に買って描いてみた正直レビュー』
以下、今回のテストした全サンプルの写真を掲載します。
☟サンプルNo.①(Sketchポストカードサイズ画用紙厚口20枚入りHS-52A)

☟サンプルNo.②(Sketchポストカードサイズ画用紙特厚口15枚入りHS-53A)

☟サンプルNo.③(SketchBook DS-B6A)

☟サンプルNo.④(SKETCHBOOK 45-084)

☟サンプルNo.⑤(DRAWINGBOOK M047-038)

☟サンプルNo.⑥(画用紙32切24枚 D045)

☟サンプルNo.⑦(DRAWINGPAPERがようし D204)

☟サンプルNo.⑧(DRAWINGPAPER画用紙はがきサイズ45枚 45-170)

☟サンプルNo.⑨(ミニスケッチブック(おかっぱ文具) 45-056)

☟サンプルNo.⑩(画用紙12枚A4 45-092)

☟サンプルNo.⑪(厚口画用紙8枚A4 45-308)

☟サンプルNo.⑫(DRAWINGBOOK 45-094)

☟サンプルNo.⑬(がようし12枚 45-302)

☟サンプルNo.⑭(クラフトリングスケッチブック26枚 45-305)

☟サンプルNo.⑮(ホワイトワトソン厚口190g/中性紙/30枚入り PHW-104)










-485x273.jpg)
こんにちは 水彩画家のBakkyです 水彩画たのしんでますか?
「100均の水彩紙って安いけど、きれいに描けるの?」
そんな疑問をお持ちではありませんか?