このページでは、初心者が「どこから・どうやって塗り始めるのか」を具体的な動画とともに解説します。この記事は動画部分を除いて凡そ15分で読めます。
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はじめに
今回は、上に表示した作品の実際の制作動画を使って、一枚の水彩画がどのような考え方で作られているのか、着彩プランの考え方や描く順番を初心者の方にも分かりやすく解説してみたいと思います。
最初はうまくいかなくても全然大丈夫です。水彩画は経験を積むほど味が出る表現ですから、自分のペースで楽しみながら続けてみましょう。
この作品を描こうと思ったきっかけ
今回ご紹介する作品「茜のモスク」は、実は、ひとつ前に制作した作品「ブルーモスク」の“連作”として描いたものです。前作では、夜空を背景にしたモスクを描きました。夜の静けさの中に浮かび上がるモスクを描いたあと、次は「時間帯を変えたら、同じモチーフでもまったく違う表情になるのではないか」と考えました。
☟前回作の動画はこちらです。夜空の青をムラなく塗る方法を中心に解説しています。
今回、表現したかったこと
今回の作品で意識したのは、夕陽に照らされるモスクと刻々と変わる夕焼けの空を、エモーショナルなテイストで表現することでした。
明るい夕焼けというよりも、すーーっと陽が沈む直前の、少し空気が静まり返るような時間帯。
青空の色がまだ残っているけれど、もうすぐ夜に変わっていく——そんな「日没寸前の一種荘厳な空気感」を出せるように意識して描きました。
風景画は「時間帯」を意識すると表現が決まりやすい
水彩画 風景画に限らず、「何を描くか」だけでなく、「いつの時間帯を描くか」を決めることで、色選びや明るさの方向性がぐっと整理されます。
そうやって、自分の心の中でイメージを膨らませることが大切です。
今回の場合、僕は描く光景を次のようにイメージしました。
・空は完全な夕焼けではなく青空も少し残っている(単調な色彩を避けたい意味も)
・でも昼間のような明るさは残ってなく、夕闇が迫っている
・建物のドームには光沢があり、夕陽を受けて一部が強く光っている(光を感じさせたい)
着彩のプランを考えましょう
このような光景を頭の中で整理した上で、以下の着彩プランを立てました。
具体的着彩プラン
・基本として、明るい部分(夕陽)から暗い部分へと塗り進める(こうすると失敗が少ない) ・水彩画ではいちばん明るいところは紙の白い部分を残すことで表現されるので、夕陽の位置を決め、ココは塗り残す ・空全体は青空の青色から夕焼けの橙色へとグラデーションで下塗りをする(青を塗って一旦乾かしたあとに橙色を塗る) ・雲をたなびかせて画面に変化と情緒を持たせる(青と橙のグラデーションだけだと単調になると予想)
・背景とハッキリ分けたい箇所はマスキングする(尖塔の向こう側に暗い雲を置きたい) ・夕陽の周囲は空も森も建物も極く薄い色にしてハレーションを感じるようにさせたい ・陽が当たっている側の部分はより明るい色にする(建物の部分については明暗の境目をハッキリとさせる) ・夕陽から遠い部分や陽が当たらない部分は暗くする(夕陽をより明るく見せたい)
☟この着彩プランを可視化するとこんな感じです。

使用した色
今回、使った色は以下の通りです。
・青空の部分・・・セルリアンブルー
・明るい夕焼けの部分・・・トランスペアレントオレンジ
・暗い夕焼けの部分・・・前記の「明るい夕焼けの部分」の色+バーントアンバー
・夕陽の周囲・・・トランスペアレントイエロー
・雲・・・トランスペアレントオレンジ+バーントアンバー+ウルトラマリンディープ
・雲の暗い部分・・・前記の「雲」の色+チャイニーズホワイト
☟参考動画はこちらです。以下の制作動画では、明暗のバランスをどう考えているか、どこから塗り始めているか、がわかります。
ところで、初心者の方は、「全部きれいに描こう」と思いがちです。でも、これは寧ろ避けた方がよいです。
というのも、画面の全部を同じ精度や熱量で描くと、どれが主役かわかりづらい絵になってしまいます。
主役と脇役を決めるだけで、画面はぐっとまとまりやすくなります。
主役にはチカラを入れて描き、脇役はそれなり(わざとぼかしたり、暗くしたりです)に描くのが良いです。
【動画で解説】水彩画 着彩の手順(塗る順番と考え方)

こちらが、実際の制作の様子を収録した動画です 着彩プランを踏まえたうえで、どの順番で塗り進めているか、どこで手を止めているかを見ていただければと思います
初心者の方がこの動画を参考するときのポイント

この水彩画着彩動画を見て、
「同じように描かなきゃ」「この色じゃないとダメなのかな」
と感じる方もいるかもしれません でも、初心者の方がこの動画を練習に使うときは、そこまで気にしなくても大丈夫ですよ
色は同じでなくていいです
動画で使っている色と、手元にある絵の具が違っていても全く問題ありません。
大切なのは色の名前ではなく、「どのくらい明るいか・暗いか」「どのくらい落ち着いた色か」という“印象”です。
そして何よりも大切なのは、「自分が見て気持ちいいか・もっと加えたい色はないか」です。自分の持っている色で置き換えてみてください。
形を正確に写そうとしなくていいです
建物の形や細部を、動画と同じように描けなくても大丈夫です。確かに形が正確に描けると、それだけで安心するものなんですけどね(苦笑)。
でも、「形をこまごまとそっくり再現する」よりも、全体を見て「大きなかたまり」として捉える練習がおすすめです。
この動画では、細部よりも先に大きな色の流れを作っています。まずは、空、建物、地面(または背景)。この3つに分けて捉えるだけでも、画面はぐっと整理されます。
すべて描き切ろうとしなくてもいいです
動画を見ていると、「紙の端から端まで描かないと完成じゃない」と思ってしまうかもしれません。でも、途中まででも立派な練習です。
たとえば、
・空だけ塗って終わる
・建物の明暗だけを試す
・色のにじみを見るだけでやめる
そんな描き方でも、水彩の感覚は確実に身についていきます。
「うまく描けない」は正常です
ひとの動画を真似して描いてみて、「思ったようにならない」と感じることは、ほとんどの人がそうだと思うんです。僕自身、同じ絵を二度と描けません。
それは失敗ではなく、目と手がまだ慣れていないだけだと思います。
僕自身も、動画を撮りながら描いていて、「これはやり直したいな」と思う場面は何度もありました。
完成度よりも、「一度やってみた」という経験のほうが大切です。
それに、「思ったようにならない」と感じたのは、単に「この動画はあなたの感性とは違う」ということだけかもしれません。
自分の感性を大切にしてください。その感性を養うことが、あなた独自の絵の世界につながっていきます。
一度描いたら、少し時間をあけてもう一度ながめて、そして描いてみてください
もし余裕があれば、同じモチーフを、日をあけてもう一度描いてみてください。
不思議と、最初よりも落ち着いてゆとりを持って水や絵の具がコントロールできて描けることが多いです。
水彩画は、スポーツの練習に似ていて、一回でうまくなるものではなく、少しずつ感覚が積み重なっていくものだと思います。
「ほかの人の作品を真似る」ということよりも、「考え方や技術を少しずつ身につける」ことが大切だと思います。そこに、あなたの感性が加わることであなた独自の絵になります。
まとめ
今回の作品は、夜空のモスクを描いた前作「ブルーモスク」からの流れの中で、時間帯を夕刻に変えることで生まれた一枚です。
先ほども触れましたが、前作の制作動画(以下)も是非ご覧になって参考にされてください。
夜の静けさとは対照的に、夕暮れの風景画には、光が移ろい、空の色が刻々と変わる
独特の表情があります。
水彩画では、細かな描写よりも前に、
「どの時間帯を描きたいのか」や「光はどこから当たっているのか」
を意識するだけで、色選びや構成が驚くほど整理されます。
今回ご紹介した着彩プランや制作手順は、この作品に限った特別なものではなく、風景画全般に応用できる考え方です。
最初から同じように描けなくても大丈夫です。
雰囲気を感じ取り、一度、自分なりに試してみることが、水彩画を楽しむ一番の近道だと感じています。
今回の動画と解説が、これから水彩画を始める方や、表現の幅を広げたいと感じている方の
小さなヒントになれば嬉しいです。
では、、、また。

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水彩画を描こうとすると、「このモチーフ、どういう雰囲気で描こうかなー?」「いきなり塗っていいの?」「どこから手を付ければいいの?」と迷ってしまうことはありませんか?