初心者のための水彩画の筆の使い方入門|おすすめの筆と描き方

この記事はおよそ10分で読めます。

 水彩画は、同じ絵の具であっても筆の使い方で驚くほど「絵」が変わります。

Bakky

初心者のかたは、とにかくモチーフの形を取ることに集中しがち

ですよね?  僕もそうでした^^;

けれど、そういった描き方だけだと勿体ないと思います

 ちょっとだけ、ひと工夫すれば、絵に深みや自然さを持たせることができるん

です。

細かい線、にじみ、かすれ、質感表現、広い面の均一な塗り方、などなど…。

 今回は水彩画で使いたい筆の種類と、その色々な使い方をご紹介します。

さらに、その中でも特にお勧めする「面相筆」の技法や、そのほか身近なものを

使った技法をご紹介します。

「こんな使い方があったんだ!」と、「気づき」がきっとあると思います。

そして、この記事で得た知識で筆の使い方を工夫いただくと、あなたの絵もグッと変わると

思いますよ。

 では参りましょう♪

水彩画でよく使う代表的な筆とその使い方

Bakky

いろいろな筆の特徴と使い方例を動画を交えてご説明します

1. 丸筆|万能な筆で初心者にもおすすめ

特徴

 先がとがった円筒形です。水彩筆の基本的な筆です。

小学校の図画の時間にも使ったと思います。

使い方

 細い線から太い線まで広範囲で使えます。

・線描き:筆先だけを立てて細い線が描け、押しつけて太い線が描けます。

・面塗り:筆を寝かせて筆の腹で描くと、一度に広い面も描けます。

・にじみ:丸筆に限りませんが、紙を水で濡らしておいて、筆で絵の具を置くと、

にじみができます。

・ぼかし:塗った色を、濡らして絞った筆で拭うとぼかしができます。

これも丸筆に限りませんが、筆の毛の量が多い丸筆で拭う方がやりやすいと思います。

活用例の動画

 上記バリエーションを動画で紹介します。

2. 平筆|背景や直線表現に便利

特徴

 先が平らで直線的な形をしています。 比較的広い面を均一で安定した着色ができます。

使い方

・面塗り:水をたっぷり含ませて広い面を素早く塗ることができます。

・線描き:角を使えばカッチリしたエッジの効いた線が出せます。

活用例の動画

 上記バリエーションを動画で紹介します。

3. 刷毛|画面全体のような広い面を塗るのに最適

特徴

 幅広で毛量が多いです。日本画では地塗り用に使いますが、水彩では大きな面を素早く処理

するのに便利です。

使い方

・下地づくり:紙全体を均一に下地塗りするときに使います。

・大面積平塗り:空、海、背景などを一気に塗るときに使います。

・重ね塗り:広い部分に透明感を保ちながら色を重ねる。

活用例の動画

 上記バリエーションを動画で紹介します。

4.面相筆|細部の描き込みから、そこそこ広い部分にも大活躍

 面相筆は、その名のとおり、顔の輪郭や目や鼻を描くのに適している筆です。

面相筆は毛先が細くまとまっている筆で、細線や点描が得意です。

でも、この一本の筆で思いのほか多彩な表現ができる。そんな筆でもあるんです。

実は僕の持っている筆の中でいちばん活躍している筆です。

特に細部の描き込みや仕上げの時に威力を発揮します。

特徴

 毛が細く長く先端が鋭いです。コシもあります。日本画や水墨画でも線描に用いられます。

使い方

・長い線:絵の具の含みが良いので、スーッと引くように描くと長い線が引けます。

・輪郭線:イラスト風のアウトラインや強調したい部分に

・細密描写:木の枝、草、毛並みなど

活用例の動画

 上記バリエーションを動画で紹介します。

5.面相筆の様々な使い方

Bakky

ここで、面相筆について「特出し」で詳しく説明していきます

基本の使い方:細い筆先を使って細部を描く

 面相筆は、もともと日本画用の筆です。

筆先がとても細いので、絵の具をピンポイントで紙の上に置け、繊細な表現が可能です。

・使いどころ:細かな草などの絵の中の細密な部分の描写

・ポイント:この筆は意外にコシがあり、筆先のほんの一部だけ触れるようにして描けます。 

  つまり紙に筆を押しつけずに描けるので細い線が描けるというわけです。

活用例の動画

  近景の草の茂み(葉の形がハッキリしたもの)

面相筆の腹を使ってドライブラシ

 筆に水を少なめに含ませ、乾いた紙の上に筆を寝かせ気味にして描きます。

紙の表面にザラっとした質感で着色できます。特に粗めの水彩紙でこの効果が高いです。

・使いどころ:岩肌や木肌のような質感を表現したいところの描写

・ポイント:紙の粗さと筆の絵の具の量や濃さが質感を左右します。

活用例の動画

  木肌と石肌

にじみをコントロールする

 紙をあらかじめ濡らして置き、その上に色をのせると、やわらかく広がります。滲みですね。

面相筆はピンポイントで色を置けるので、繊細な滲みの表現ができます。

・使いどころ:遠景の草の茂み

・ポイント:滲みの度合いは、紙の上の水の量と絵の具の濃さに左右されます

絵の具の濃さと紙の濡れ具合の解説動画

木の葉を描く

 細かな線や点が描ける面相筆は、木の葉を描くのにとても都合が良いです。

(1)基本は面相筆のタッチで描く

 点や小さなタッチを重ねると、細かい葉が表現できます。

(2)水スプレーと組み合わせてさらに「本物っぽく」

 紙の上に水スプレーで水の粒を置いたうえで色を載せると、より自然な感じになります。

活用例の動画

 👉スプレーは滝の水しぶきにも応用できます。(以下の記事を参照ください)

割れ筆の活用|自然なランダム感を出す

古い筆を割って割れ筆(割り筆)にして使うと、一度に複数の線や点が描け、とても使い勝手が良いです。

・使い方:木の葉や草むらなど、自然なランダム感を出すのに最適。

割れ筆の作り方の動画

番外編|サランラップで模様を作る

 サランラップに絵の具を付け、水彩紙の上に押しつけると不思議な模様ができます。

筆で描くのとは異なり、ランダムさ加減が自然な感じを思わせます。

 また、マスキング液をサランラップで塗り、「色抜き」をしても面白いです。

活用例の動画

まとめ

 水彩画は、筆の種類や使い方によって表現の幅が大きく広がります。            

丸筆や平筆は、初心者の方がまず揃えておきたい基本の筆です。

刷毛は広い面の着色に便利で、作品にスピード感を与えてくれます。

そして面相筆は、細密描写からドライブラシやにじみのコントロールまで、多彩なテクニックに

対応できる万能選手です。

 今回ご紹介したように筆の特徴を理解し工夫して使うことで、同じ絵の具でも作品の仕上がり

は、ぐっと豊かになります。

ぜひご自身の水彩画制作で、いろいろな筆の使い方を試してみてください。

あなたの水彩表現がさらに広がり、描く楽しさが増していくと思います。

では、また。

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