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はじめに
夕暮れの水辺には、昼間とは違った静かな光があります。
夕暮れの水辺は、水彩画ととても相性の良いモチーフです。
特に、
・山の向こうに沈む夕陽の周りのグラデーション
・夕陽の光が重なる山かげ
・水面の反射
を意識すると、静かな夕景の雰囲気を表現しやすくなります。
この記事では、実際の制作過程を紹介しながら夕景を水彩で描くポイントを解説します。
特に意識したのは、逆光の空気感と水面の反射の表現です。
完成作品

☟完成作品はこちらです

川辺を題材にした透明水彩画です。
遠くの山並み、川面の反射、手前の草のシルエットによって、静かな時間の流れを表現しました。
モチーフについて
この作品のモチーフは、夕暮れの川の風景です。季節は冬。
あと2時間足らずで日没といったところでしょうか。
前述したように、夕方の風景は水彩ととても相性が良いです。
・夕陽の逆光と空の色の変化
・山の遠景のやわらかさ
・水面の反射
などを、にじみやグラデーションで印象的に表現することができます。
季節は冬なので、陽の光はまだ弱く「ぼんやり」とした明かりです。
春まで少し間があるこの季節の夕陽は、春への期待が膨らみながらも、まだ静かな明かりです。
この静かな夕刻のひとときを、色調を少し抑え気味にして描くことを意識しました。
下描き
まず、簡単に構図を決めて下描きをします。
今回の構図では
- 上部:空
- 中央:遠くの山と手前のビル群
- 下部:川面
- 手前:草
という、比較的シンプルな構成にしました。
あまり細かく描き込まず、大きな形だけを押さえる程度にします。
また、夕陽の逆光を表現するために山の稜線の部分の下描き線はできるだけ薄くしておきます。
☟下描きはこのような感じです。

制作手順

では、制作の流れを順を追って見ていきましょう
色の説明
今回、使用した主な色は以下の通りです。
・トランスペアレントイエロー
・キナクリドンゴールド
・ウルトラマリンディープ
・バーントアンバー
空と夕陽のグラデーション
水彩画では、いちばん明るい箇所あるいは遠景から着色していくのが基本でしたね。
なので、今回の題材では夕陽の周りから着色していきます。
そして、夕陽が水面に映っている部分も明るいですので、空と夕焼けが映る水面も一緒に塗ります。
夕焼けの空は
- 黄色
- オレンジ
- やや赤みのある色
を使って、夕陽を中心にして向かってやわらかくグラデーションを作ります。
今回はトランスペアレントイエローにキナグリドンゴールドを混ぜて色を作りました。
にじみを活かして自然な空気感を作ることに気をつけます。
①.そのために、まず画面全体を水で濡らします。そのあと、大きめの刷毛で絵の具を取り、夕陽から比較的遠くに夕陽を囲むように絵の具を置きます。
②.絵の具を置いたら、外側へ刷毛で置いた色を広げるようにします。一方、夕陽の内側の絵の具には触れません(自然と滲むに任せます)。また、黄色が山やビルにかかっても構いません。
③.水面や手前の草の茂みにも同じ色を置きます。そしてこのとき、夕陽の正面の水面の部分には、全く塗らないか、塗ってもほんの少しだけにします。このほうが光を感じやすくなります。
色を置くときには、どこに光が当たっているかを意識すると良いです。

夕陽の描き方についてはこちらの記事でも解説しています。
☞『【水彩画 描き方 初心者】「茜のモスク」で学ぶ着彩プランと手順』
淡く空の青と水面への映り込みを描く
夕焼け空にも少し青空を覗かせます。こうすることで、画面に変化を持たせ単調な夕焼けになることを避けられます。そして、川の水面には空の青色も映り込みます。
画面を予め水で濡らして、空と水面に青色を薄めに置きます。

遠景の山を描く
一旦、画面全体を乾かしたあと、あらためて遠くの山並みの部分を水で濡らして色を塗ります。
遠景なので
- やや青みがかった色
- 彩度を抑えた色
を使うと、奥行きが出ます。
ウルトラマリンディープとバーントアンバーを混ぜて色をつくりました。
また、遠い山と近い山とで色目に違いをつけると、より奥行きを感じさせることができます。
今回の例ですと、遠い山ほど色を薄く塗りました。
こうすることで、先に塗った夕焼けの色が下から透けて見えますので、より黄色に寄った色になり、夕陽の逆光が山に被っているような感じにすることができます。
また、山肌は細かく描き込まず、ぼんやりとシルエットとしてまとめるようにします。
こうすることで、山を遠く感じさせることができます。

ビル群を一気に塗る(マスキング)
次にビルを塗っていきます。
この題材に描いたビル群は、比較的に面積が大きく、形が入り組んでいる所もあります。
そして、夕陽の綺麗さを表したいので夕陽の逆光の向こう側に透けて見えるビル群はムラがないように、そしてトーン(明度と彩度とを併せた指標)を落として塗りたいです。
このため、塗る前にビル群以外の部分をマスキングしてから、ビル群を一気に塗ります。
このときグラデーションも入れました(太陽に近い所は濃く、遠い所は薄く)。

ビル影にメリハリをつける
前述のように、ビルは一気塗りしました。
塗ったのを見てみると、少しのっぺりと単調な感じがしましたので、ビル影にメリハリを付けて、奥行き感を出しました。
また、ビルの屋上の部分をところどころ夕陽の色に塗り、光っているように見せました。

水面へのビル影の映り込みを描く
さて、次は川を塗ります。
今回の例では川の部分が一番面積が大きいので、一つの見せ場となります。
川の水面には、空の色とビルの影も映り込みます。
夕陽の映り込みは先に塗りましたので、ここではビル影の映り込みを塗ります。
まず水面を水で濡らしておき、筆を水平方向に動かしながら絵の具を塗っていきます。
置いた絵の具を紙の上の水で少し滲ませた方が光が映り込んだ感じが出ます。
そして、絵の具を置く時のパターンですが、同じ形を繰り返すのではなく、ところどころ形を崩した方が自然に見えます。
ところで、写真や動画では面相筆で描いていますが、大きめの平筆の方が塗りやすかったかもしれません。
これは塗り始めて気づきました(苦笑)。
今回は水面がとても静かな風景だったので、この程度の影の表現にしました。
もし風のある場面なら、もう少しはっきりした漣を描いてもよいでしょう。

手前の草の茂みを描き入れます
この風景の要素の一つ「手前の草の茂み」は主役ではありませんが大切な要素です。
この部分をしっかりと描き込むことで、遠景がより遠くに感じ、画面に奥行きをつくることができます。
具体的に言うと、手前の茂みの葉や茎の形をハッキリ緻密に描くところを作ります。

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仕上げ
全体の明度や彩度を確認して、微調整します。
一旦塗ったあとに全体を眺めて見ると、右下のあたりの明度が高く、夕陽が強調されていないと感じたので、仕上げに右下の水面に暗い青色を置いて抑え、まとめました。
一つ前の画像と比べると夕陽の明るさに差を感じると思います。

制作の様子の動画
では、おわりに制作の様子を動画にしましたので、通しでご覧ください。
まとめ|夕景の水彩画を描くポイント
夕暮れの水辺は、水彩画ととても相性のよいモチーフです。
水彩画ならではのにじみやグラデーションを活かしやすいからです。
今回の制作では、次のような点を意識して描きました。
・夕陽の周囲から色を置き、やわらかなグラデーションを作る
・遠景の山は彩度を抑えてシルエット気味にまとめる
・水面には空や建物の色を映り込ませる
・手前の草をしっかり描いて奥行きを作る
このようなポイントを押さえることで、夕景特有の静かな光や空気感を表現しやすくなります。
夕方の風景は、色の変化やにじみを活かしやすく、水彩ならではの魅力を感じられる題材です。
もし機会があれば、ぜひ身近な場所の夕暮れの水辺の風景にも挑戦してみてください。
思いがけない美しい色の変化に出会えるかもしれません。
なお、水彩画の基本については、こちらの記事で詳しく解説しています。
☞『【初心者必見】水彩画の始め方|道具・絵の具・紙・描き方を総合解説』
では、、、また。

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みなさんこんにちは 水彩画たのしんでいらっしゃいますか? 今回は、ひとつの作品の作成過程をお届けします