この記事は動画を除いておよそ20分で読めます
花は、水彩画で一度は描いてみたくなる代表的なモチーフです。
しかし実際に描こうとすると、
「形がうまく取れない」
「色が濁ってしまう」
「どこから塗ればよいのかわからない」
と感じる方も多いのではないでしょうか。
僕自身も、はじめて花を描いたときは、形が安定せず色も濁ってしまい、可憐な印象をうまく表現できませんでした。
水彩画で花を描くときは、
花の「作り(構造)」を理解して形を大きく捉えること
にじみ活かすこと
色を塗りすぎないこと
が大切です。
この記事では、完全初心者の方に向けて、水彩画で花をやさしく描くための基本的な考え方と手順とをまとめました。
むずかしい技法は使いません。
まずは、安心して一輪を描いてみるところから始めてみましょう。
水彩画で花(初心者)がうまく描けない理由

花は、私たちが日常的に目にしているモチーフです
そのため、見る人の頭の中には「その花のイメージ」がすでにあります
形が大きく崩れていると、「何か違和感がある」とすぐに気づかれてしまいます
絵を見る人の中に明確なイメージがあるモチーフほど、形の正確さは重要になります
まずは、細部よりも「全体の形」をできるだけ正確に捉えることを意識しましょう
花のかたちをよく観察します|花の「構造」を理解しましょう
初心者の方が、いきなり複雑な形の花を描こうとすると、細部に意識が向きすぎて、全体の形が崩れてしまいがちです。そのような場合は「花を単純な幾何学図形として捉える」と描きやすくなります。
ここでは、よく目にする3つのタイプを見てみましょう。
・チューリップ型
・バラ型
・ガーベラ型
それぞれ、構造の特徴があります。
下の図はそれぞれの花の構造を模式的に表現したものです。

チューリップ型:「カップ」として捉える
.jpg)
チューリップは初心者にとって最も描きやすい花の一つです。
このタイプの花は、「卵型」や「底の丸いカップ」のような形として捉えることができます。
まずはこの基本形を薄く描くことから始めます。
同じような形状の花には、以下のようなものなどがあります。
ユリ、カラー、フリージア、アマリリス
スケッチの手順
① 基本となるカップ形を描き、中心に縦のガイド線を引きます。
② 円の底を意識しながら、大きな花びらを数枚配置します。
③ 花びらの隙間に、重なる花びらを追加します。
④ 縁のフリルや開き具合を整えながら描き上げます。
水彩のポイント
カップの底や花びらが重なる部分に影色を置くと、自然な立体感が生まれます。
2. バラ:複雑な「渦巻き」と「円錐(コーン)」として捉える
-1.jpg)
バラは難易度が高いですが、構造を理解すれば描けるようになります。
上図のように、バラは「中心の硬い花びら」と「外側の柔らかい花びら」でできています。 横から見ると、アイスクリームのコーンのような形をしています。
似た形の花には以下のようなものなどがあります。
ラナンキュラス、シャクヤク、カメリア
スケッチの手順
①全体の形を取ったら外側の花びらから描くのではなく「中心の渦巻き」から描き始めます。
②中心ができたら、その周りに少しずつ大きく、緩やかに花びらを描き加えていきます(外側に向けて三角形を意識しながら花びらを足していくイメージで描いていくと良いです)。
③一番外側の花びらは、大きく反り返っていることが多いので注意して描きます。
水彩のポイント
中心の渦巻き部分は色が濃く、影も深くなります。花びら一枚一枚の外側に向かって色が明るく淡くなるグラデーションとなるようにぬります。
3. ガーベラ:平らな「円盤」と「放射線」として捉える
.jpg)
ガーベラは、平面的な捉え方が鍵となります。
上図のように、大小2つの同心円で捉えます。中心から少し離れたところから外側に放射状に花びらが広がります。似た形の花には以下のようなものなどがあります。 ヒマワリ、コスモス、マーガレット、キク
スケッチの手順
①花全体の大きさとなる大きな円を薄く描きます。
②大きな円の真ん中に、花芯となる小さな円を描きます。
③中心から外側の円に向かって、放射状にガイド線を引きます。
④ガイド線に沿って、細長い花びらを描いていきます。
⑤花びらの間の隙間から下の花びらを覗かせて描きます。
水彩のポイント
全体を円盤として捉え、中心に向かって影を入れると、平らな中にも立体感が生まれます。仕上げに花びら一枚一枚にアクセントとなる襞の影をいれます。
初心者向け|水彩画でチューリップを描く手順

今回は、比較的シンプルなチューリップを題材に、着彩までの流れを解説します
下描き
まずは下描きです。
先ほど説明した手順に沿って、薄い線で形を取ります。
花は明るく鮮やかな色が多いため、花びらの色をきれいに見せるには、下描き線はできるだけ薄くしておくことが大切です。
可能であれば、花の色に近い色芯(赤や青など)を使うと、着彩の邪魔になりにくくなります。
着彩前に、色をよく観察する
塗り始める前に、まず色をよく観察します。
光は真上から差しています。
どこが最も明るいでしょうか。
どこが最も濃いでしょうか。
今回の例では、以下のようになっています。
・花びらの先端は非常に明るい
・中央に向かって徐々に濃くなる
・下部は影になっていて、やや紫がかっている
このように、「明るい部分から暗い部分へ」「薄い部分から濃い部分へ」の流れを把握しておくことが重要です。なぜならば、この順番で色を載せるからです。
色をつくる
色を塗る前に色を用意しておきます。
いままで観察したように、このチューリップは主に以下の色でできていますので、絵の具を溶いて作っておきます。
グレーを作るには、補色同士を混ぜます(混ぜる補色同士の組み合わせで色目は変わります)が、ここでは紙の白を塗り残すことで白を表しましょう。
☞なお補色の考え方については、「初心者も安心!水彩絵の具で絵を描こう♪水彩画の描き方を総解説!」の記事で詳しく説明しています。
赤系の絵の具を用意します。手元にキナグリドンレッドかキナグリドンマゼンダ(ホルベイン透明水彩)がありましたので、これを多めの水で溶きました(サラサラした感じの濃さで)。
色Aを濃いめに用意します(ネッチョリした感じの濃さで)
赤系の絵の具(色B)に青を少し混ぜます。ウルトラマリンライト(ホルベイン透明水彩)を使いました。
緑系の絵の具に黄を少し混ぜます。サップグリーンにトランスペアレントイエロー(ホルベイン透明水彩)を使いました。
緑系の絵の具にほんの少し赤を混ぜます。サップグリーンにキナグリドンレッド(ホルベイン透明水彩)を使いました。多めの水で溶きます(サラサラした感じの濃さで)。
色をぬります
①まず外側の花びら一枚に筆で水を塗ります。これは花びら一枚を滑らかに着色するためです。このとき、下描きの線から外にはみ出さないように慎重に。
②紙が濡れている間に、花びらの縁より少し離れたところから内と下に向かって、色Aを置いていきます。紙が濡れているので、置いた色がムラなく速やかに広がります。花びらの上の絵の具の濃さを筆でコントロールしてやります。
③紙は色Aを塗ったばかりなので、まだ濡れています。この状態で、色Bを花びらのいろの濃いところにぬります。花びらの上の絵の具の濃さを筆でコントロールしてやります。絵の具のにじみが想定外に広がらないように。
④まだ紙は濡れています。この状態で、少しの色Cを花びらの下の方に置きます。
⑤ここで一旦、紙を乾かします。
⑥ほかの花びらも一枚一枚、写真のグラデーションを見ながら同じように塗って行きます。
⑦花びらの根元中心に水を塗って、薄く色Dを置きます。
⑧茎の部分に色Eを塗ります。
⑨背景の部分に、色Eを少し薄めた色を薄く塗って完成です。
さらにリアルにしたいなら
いまのままでも十分だと思いますが、さらにリアルにしたいのでしたら、以下のようにするとよいでしょう。けれども、あまり深追いすると、息苦しい感じにもなりかねませんので、ソコソコで筆を置くのがよいかと思います。
・花びらの花脈の細かい筋を描き込む
・丸い形を意識しながら花の色の濃淡をつける
・光の当たっていないところ(花びらの下の方や茎)の陰を描き込む
もし、「軽い」感じにしたいのなら
以上は実物のチューリップをリアルに描くことを前提にしてきましたが、スケッチのように「軽い」感じに仕上げるのも良いと思います。
その場合は、紙を予め濡らすことなく、丸筆でササっと描くのが良いです。多めの水で溶いた薄めの色で描くのがよいでしょう。
花を描くときによくある失敗

花を描くときに注意しておきたいことをご紹介します
下描きするとき花の全体を観ます
花を下描きしようとすると、つい花びらを一枚一枚ていねいに描こうとしてしまいます。
けれども、最初から細部を追いすぎると、全体の形が崩れたり、花一輪の中でバランスを崩してしまいがちです。また絵が硬くなったりもします。
まずは花全体を「ひとつのかたまり」として捉えましょう。細部はあとからでも足せます。
色を何度も重ねすぎて濁らせないようにしましょう
「もう少し濃くしたい」「ここが足りない気がする」と思って、何度も色を重ねると、透明水彩絵の具は混ざりすぎて濁ってしまいます。そうなると、折角の可憐な花が台無しになってしまいます。同系色の色同士なら濁りませんが、それでも重ねすぎると透明感は失われていきます。
透明水彩画では、塗ったところを必要以上に触らないことが大切です。
これだけで、透明感はぐっと保ちやすくなります。
影を入れすぎて暗くならないようにしましょう
立体感を出そうとして影を強く入れすぎると、花が重たい印象になってしまいます。
特に花は明るい部分をしっかり残すことが大切です。
「少し足りないかな?」と思うくらいで止めると、ちょうどよい場合が多いです。
作成動画をご覧ください
まとめ
水彩画で花を描くときは、
・花の構造を理解する
・全体をかたまりで見る
・明るい色から塗る
・塗りすぎない
この4つを意識するだけで、ぐっと描きやすくなります。
今回はチューリップを例にしましたが、基本の考え方は、バラやガーベラなど他の花にも応用できます。
完璧に描こうとしなくて大丈夫です。初めてでも大丈夫です。
ゆっくり進めれば、色のにじみや形の取り方が自然と身につきます。
まずは一輪、紙の上にやさしく色を置いてみてください。
きっと、水彩らしい花のやわらかさが紙の上に現れてくれますよ。
では、、、また。

_iOS-scaled.jpg)

-485x322.jpg)



-485x273.jpg)
-485x366.jpg)


みなさんこんにちは Bakkyです
水彩画たのしんでいらっしゃいますか?
今回は「水彩画で花を描く基本」についてお伝えします